需給動向 国内 |
1戸当たり出荷羽数増加で生産の集約進む |
平成28年5月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万135トン(前年同月比3.1%増)と前年同月をやや上回り、輸入量はブラジル産などの増加により、4万6521トン(同26.0%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は17万82トン(同5.4%増)と前年同月をやや上回り、推定期末在庫は輸入量の増加などを受けて前月から6574トンを積み増し、16万2872トン(同39.3%増)と前年同月を大幅に上回った。16万トン超えは3年9カ月ぶりとなる(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
ブロイラー出荷羽数は増加、出荷戸数は減少
平成28年7月5日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在のブロイラーの飼養戸数は、廃業などにより、2年前の前回(平成26年2月1日現在調査、以下同じ。)から20戸減少して2360戸(前回比0.8%減)、飼養羽数は1億3439万5000羽(同1.0%減)、1戸当たり飼養羽数は100羽減の5万6900羽(同0.2%減)であった。
また、出荷戸数は前回から50戸減少して2360戸(同2.1%減)となった一方で、出荷羽数は6億6743万8000羽(同2.3%増)、1戸当たり出荷羽数は1万2100羽増の28万2800羽(同4.5%増)といずれも前回を上回った(図3)。
今回の飼養羽数の減少する中で、全体および1戸当たりの出荷羽数は増加傾向で推移しており、品種改良による増体能力の向上や大手企業によるインテグレーション(生産から加工までの部門を統合した大規模生産システム)の進展などにより、生産の集約傾向が強まっていることがうかがえる。
出荷羽数50万羽以上の出荷者、戸数・羽数ともに増加傾向で推移
出荷戸数をブロイラー出荷羽数規模別に見ると、出荷羽数50万羽以上の階層では前回をかなり大きく上回ったものの、出荷羽数3000〜4万9999羽の比較的小規模な階層では前回を大幅に下回った(表5)。
また、出荷羽数も、増減率は出荷戸数と比べて小さいものの、同様の傾向となり、出荷羽数規模別の出荷羽数割合は、50万羽以上の階層が4割を超えている。
地域別に見ると、出荷戸数は、北海道、関東・東山、沖縄を除く、全ての地域で減少した。一方、出荷羽数は、関東・東山、近畿を除く、全ての地域で増加した。出荷羽数割合は、鹿児島県や宮崎県をはじめとした主要産地のある九州が全国の約5割(48.2%)を占めており、次いで、東北(24.7%)、中国(6.2%)となっている(表6)。
(畜産需給部 河村 侑紀)