需給動向 海外

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2016年4月は鶏肉生産量、輸出量ともに増加


鶏肉生産量は前年同月比4.8%増の15万3928トン

タイ農業・協同組合省によると、2016年4月の鶏肉生産量は、15万3928トン(前年同月比4.8%増)となった。(図15)。



鶏肉卸売価格は、消費者の食肉消費が、豚肉から鶏肉へシフトしたことで需要が増加したため、1キログラム当たり51.6バーツ(同8.2%高)となった(図16)。



鶏肉輸出量は前年同月比8.3%増の6万4056トン

2016年5月の鶏肉輸出量(調製品等を含む。)は、6万4056トン(前年同月比8.3%増)となった(図17)。



同月の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品)は1万3839トン(前年同月比19.1%増)となった。これは、EU向けが減少傾向の中、日本をはじめとした主要輸出先への輸出量が軒並み大きく伸長したことによる(図18)。



冷凍加塩鶏肉は、輸出の9割以上を占めるEU向けの伸長により、1万787トン(同41.5%増)となった(図19)。



EU向けは、3月以降、輸出量が増加しているが、鶏肉生産・加工大手のチャルーンポーカパンフーズ(CPF)社は、主軸通貨に対しバーツが安定しない点や、競合関係にあるブラジルが東欧向け輸出を増加させていることなどから、さらに輸出量を増加させるには、課題が多いとしている。

鶏肉調製品は、3万9430トン(同1.1%減)となった(図20)。



CPF社は、EU向けは、輸出量が増加している一方で、EUによる食品安全措置強化の影響や、上述の為替要因により、複数の業者が輸出を取り止めるなど不安定な要素があるとしている。これに対して、日本向けはコンビニエンスストア向け需要が堅調なため安定して増加することが見込めるとしている。

タイ工業連盟食品部会、英国のEU離脱で同国向け食品輸出は1割減と予測

6月27日付けの現地報道によると、経済団体であるタイ工業連盟食品部会は、EU離脱後の英国向け食品輸出量について、ポンド安が進行し、英国内の輸入食品の割高感が強まるため、離脱前に比べ1割程度減少すると予測している。

タイの食品輸出量は国別では約1割がEU向け、その約3割は英国向けであり、品目別では約6割が鶏肉となっている。EU向け輸出量は、タイ国内での鳥インフルエンザ発生に伴う禁輸措置が解除された2012年以降、順調に増加してきたものの、今回の英国への輸出量減少の予測により、英国向けの減少分を補完する新たな輸出先の開拓が求められている。

一方、鶏肉の国内需要は増加しつつある。政局不安による経済停滞と生産量減少による豚肉価格の上昇により、消費者の食肉消費が、比較的安価な鶏肉にシフトしつつあるためである。

(調査情報部 青沼 悠平)


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