需給動向 海外

◆米 国◆

冷凍鶏肉在庫量は、18カ月連続で前年同月を上回る


米国農務省、2016年の生産量を下方修正

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月27日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2016年5月の処理羽数は、前年同月よりと畜日が1日多かったことなどから7億4462万羽(前年同月比5.7%増)となった。また、1羽当たりの平均処理時生体重は、2.8キログラム(同1.1%増)と、前年同月をわずかに上回った。この結果、同月の鶏肉生産量は、前年同月比6.7%増の157万1100トンとなった(図12)。



なお、2016年の鶏肉生産量についてUSDAは、飼料コストが上昇傾向で推移していることに加え、供給増に伴い鶏肉価格が低調に推移するとの見込みから、1860万4000トン(前年比2.4%増)と、前月予測をわずかに下方修正した。

むね肉の在庫量は、高い水準で推移

USDA/NASSが6月24日に公表した「Cold Storage」によると、2016年5月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、前年同月比9.4%増の35万1300トンと、2014年12月末以降18カ月連続で前年同月を上回った。主要部位別に見ると、むね肉は同24.8%増の8万2800トンと、引き続き高い水準で推移した。また、レッグ・クオーター(注)は、2015年9月から在庫の取り崩し傾向が続いていたが、2016年4月以降は一転して積み増し、同年5月末時点には5万1700トン(前年同月比31.4%減)となった。

(注) ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。



主要輸出先国向け輸出量は、軒並み減少

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が公表している「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年4月の鶏肉輸出量は、前年同月比5.6%減の24万5431トンであった。主要輸出先別に見ると、メキシコ向けは同2.5%減の5万3500トン、カナダ向けは同27.6%減の1万1000トン、台湾向けは同17.6%減の1万5800トンと、軒並み減少した。

中国や韓国、およびロシアの輸入制限に加え、原油安や米ドル高で推移する為替相場の影響を受け、鶏肉輸出量は低調に推移しているが、2016年6月現在、原油価格が上昇傾向で推移していることを受け、USDAは今後、アンゴラなどの原油輸出国からの引き合いが強まるものと見込んでいる。

卸売価格は、低調に推移

USDA/ERSが6月28日に公表した「Wholesale Prices」によると、2016年6月の鶏肉卸売価格(丸どり(中抜き))は、前年同月比3.1%安の1ポンド当たり98.0米セント(1キログラム当たり225円:1米ドル=104円)(速報値)と、供給量の増加を背景に2015年3月以降、16カ月連続で前年同月を下回って推移している(図14)。



(調査情報部 野田 圭介)


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