需給動向 海外

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生乳生産は堅調、乳価は続落


生乳出荷量は13カ月連続前年超

欧州委員会によると、2016年4月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比1.6%増の1351万トンとなった(図21)。主要生産国では、オランダが同10.8%増となる一方、アイルランドは同3.7%減と13カ月ぶりに減少に転じた。



2016年1〜4月までのEU全体の累計は、前年同期比5.5%増と前年を上回って堅調に推移している。オランダが前年同期比16.0%増、アイルランドが同14.6%増となっており、EU全体の増産はこの両国がけん引している。

生乳取引価格は21カ月連続前年割れ

欧州委員会によると、2016年5月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比14.9%安の100キログラム当たり26.15ユーロ(1キログラム当たり30.33円:1ユーロ=116円)と続落した(図22)。同価格は、21カ月連続で前年同月を下回っており、EUの酪農危機と言われた2009年10月以来6年半ぶりに26ユーロ台まで落ち込んだ。生乳出荷量が増加傾向を維持する中、低水準で推移する乳製品国際相場の影響が大きい。



脱脂粉乳の公的買入限度数量、2度目の引き上げ

このような中、欧州委員会は2016年6月30日、規則の改正を行い、脱脂粉乳の公的買入限度数量について2度目の引き上げを行った。これにより、同数量は21万8000トンから35万トンとなった。同数量は、当初10万9000トンと設定されていたが、3月末には早くも到達したため、同年4月20日、特別追加支援措置として2倍の21万8000トンに引き上げられていた。今回、5月24日に再び買入申請量が限度数量に達したため、欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当欧州委員は6月27日の農業理事会でさらなる引き上げを発表していた。

EUの脱脂粉乳平均卸売価格は、公的買入価格(100キログラム当たり169.80ユーロ(1万9697円))を下回るか同程度で低迷し続けており、各国からの公的買入による在庫量は増加傾向にある(図23)。



ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は、この状況は供給過剰により引き起こされたものであることを強調した上で、今後さらなる支援策を7月に打ち出すことを明らかにしている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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