需給動向 国内 |
平成28年5月の生乳生産動向を見ると、生産量は65万3358トン(前年同月比0.7%増)と前年同月を12カ月連続で上回った。牛乳等向けについては、35万76トン(同0.8%増)と前年同月を7カ月連続で上回り、乳製品向けは、29万8934トン(同0.7%増)と前年同月を2カ月連続で上回って推移している(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
飼養頭数および頭数の減少は継続も、経産牛頭数はわずかに増加
平成28年7月5日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の乳用牛飼養戸数は、前年から700戸減の1万7000戸(前年比4.0%減)となった。飼養戸数は、飼料価格の上昇や高齢化による離農などにより、24年からの4年間で15.4%(3100戸)減少した。
また、乳用牛飼養頭数も、前年より2万6000頭減の134万5000頭(同1.9%減)となった(図4)。
乳用牛飼養頭数の内訳を見ると、経産牛は87万1000頭(前年比0.1%増)となり、4年ぶりに増加した。一方、未経産牛は47万4100頭(同5.5%減)と減少した。これは、子牛価格が高値で推移する中、副産物収入の増加を目的として、酪農家が乳用牛への黒毛和種の種付を増やしていることが背景にあるとされ、交雑種の頭数を見ると、前年比4.7%増となっている。今回、未経産牛が減少していることから、後継牛の確保が懸念されている。
全国農業地域別に見ると、全ての地域で乳用牛飼養戸数および飼養頭数ともに減少しており、中でも近畿および中国地域では、乳用牛飼養戸数の減少率が約7%と目立っている。
また、北海道は、乳用牛飼養戸数が6490戸(同2.8%減)、飼養頭数が78万5700頭(同0.8%減)となった。乳用牛飼養戸数の減少率は、都府県(同4.5%減)よりは低いものの、依然、緩やかな減少傾向で推移している。
飼養規模は引き続き、拡大傾向
一方、全国の1戸当たりの飼養頭数は79.1頭となり、前年より1.6頭増加した。内訳を見ると、北海道は121.1頭(前年比2.5頭増)、都府県は53.3頭(同0.7頭増)と、ともに増加している(図5)。
小規模経営の離農、中規模層以上での規模拡大への取組みやスケールメリットを生かしたメガファームの台頭などにより、今後も飼養規模は拡大するとみられている。
飼養頭数の減少を受け、初妊牛価格は高値で推移
ホクレン農業協同組合連合会が公表している初妊牛の1頭当たり平均価格は、乳牛飼養頭数の減少を受け上昇傾向で推移しており、平成28年1月には70万円を上回った。同価格は、その後も60万円台後半の高水準で推移し、同年6月には前年同月比22.3%高の68万6000円となった(図6)。今後、初妊牛の平均価格は、子牛の肉用仕向けが続いて後継牛頭数が減少傾向で推移した場合、高値で推移すると見込まれる。
(畜産需給部 山神 尭基)