需給動向 海外

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輸出量増加などにより豚価上昇


生産量は前年並みで推移

欧州委員会によると、2016年4月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比4.5%増の194万トンとなった(図7)。主要生産国では、スペインが同14.3%増、ポーランドが同11.6%増となる一方、デンマークが同3.4%減となった。

2016年1〜4月までのEU全体の累計で見ると、前年同期比1.9%増と、ほぼ前年並みで推移している。



豚肉輸出量が大幅に増加

欧州委員会によると、2016年4月の豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同月比85.6%増の23万トンと大幅な増加となった(図8)。輸出量は、スペインおよびドイツを中心に11カ月連続で前年同月を上回って推移しているが、特に2016年に入ってからの伸びが目立っている。



輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けが中国国内の豚肉供給不足により同3倍の11万トンと大幅に増加した。次いで、第2位の日本向けが同28.5%増、第3位の韓国が同20.2%増となっている。上位3カ国のほかにも香港、フィリピンおよびベトナム向けがいずれも同2倍となるなど、アジア市場が豚肉輸出量の増加をけん引している。

豚肉生産量が前年並みで推移する中、輸出の拡大は需給引き締めの大きな要因となっている。

豚価は前月から10ユーロ近く上昇

欧州委員会によると、2016年5月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比5.2%安の100キログラム当たり136.85ユーロ(1万5875円:1ユーロ=116円)となった(図9)。低迷が長く続いている同価格は、32カ月連続で前年同月を下回ったものの、前月から同10ユーロ(1160円)近く一気に値を上げた。

2016年1月に実施された民間在庫補助(PSA)で市場隔離された9万トン強(製品重量ベース)の豚肉が、同年4月から6月にかけて市場放出されているものの、EU豚肉輸出量が前年を大幅に超えたことが、価格回復の大きな要因の一つとなっている。



(調査情報部 大内田 一弘)


				

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