需給動向 国内 |
1戸当たり飼養頭数の増加傾向が続く |
平成28年5月の豚肉需給を見ると、生産量は7万2419トン(前年同月比5.8%増)と前年同月を8カ月連続で上回った。輸入量は6万7799トン(同1.7%減)と前年同月を7カ月ぶりに下回った。輸入量のうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、2万5927トン(同1.7%増)と前年同月を12カ月連続で上回って推移している。一方、冷凍品はスペイン産が大幅に増加したものの、前月に引き続き北米産が大幅に減少したことにより4万1863トン(同3.7%減)と前年同月を2カ月連続で下回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る13万5390トン(同3.0%増)となり、推定期末在庫は前月から4809トン積み増したものの、17万8272トン(同8.0%減)と、前年同月をかなりの程度下回っている(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
飼養戸数は減少し5千戸を割り込む
平成28年7月5日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の豚の飼養戸数は、2年前の前回(平成26年2月1日現在調査、以下同じ。)から440戸減少して4830戸(前回比8.3%減)となり、依然として後継者不足などによる廃業が進んでいると思われる(図2)。
豚の全国飼養頭数は931万3000頭(同2.3%減)と、前回からわずかに減少し、そのうち子取り用めす豚の飼養頭数も、4万600頭減少して84万4700頭(同4.6%減)となった。豚の全国飼養頭数に比べ、子取り用めす豚の飼養頭数の減少幅が小さくなっているのは、多産系の導入などが進んでいる結果と思われる。飼養戸数を子取り用めす豚飼養頭数規模別に見ると、全ての階層において減少したが、全国の約5割を占める100頭以上の階層では、減少幅が10%を下回っている(表3)。規模別の飼養頭数においては、200頭以上の階層を除いて減少となったものの、100〜199頭の階層では減少幅が一桁と他の階層に比べ低かった。100頭以上の階層の全国割合が前回から1%増加するなど大規模生産者の割合がわずかではあるが伸びていることが分かる。
豚の1戸当たり飼養頭数は、前回から118.5頭増加して1928.2頭となった。また、子取り用めす豚の1戸当たり飼養頭数は前回から8頭増加して214.4頭となった。子取り用めす豚飼養頭数が99頭以下の中小規模生産者を中心に廃業が進み、飼養戸数が減少したことに加え、全国飼養頭数も減少傾向で推移しているものの、飼養頭数および子取り用めす豚の1戸当たり飼養頭数が増加するなど規模拡大の傾向が見られた。
飼養戸数は全ての地域で減少、飼養頭数は北陸、関東・東山、近畿および中国で増加
全国農業地域別に見ると、飼養戸数は全ての地域において前回から減少した。そのうち中国、四国および九州においては、10%を超える減少幅となった。一方、飼養頭数は、北陸、関東・東山、近畿および中国において、前回から増加したものの、その他の地域ではいずれも減少した(表4)。
飼養頭数を都道府県別に見ると、前回調査時の上位5県である鹿児島県、宮崎県、千葉県、群馬県および北海道については、順位に変動はなかったものの、前回から2.5%増加した群馬県を除き、他の4道県はいずれも減少した。
なお、全国に占める各農業地域別の飼養頭数割合は、関東・東山および九州で全国の約6割を占めており、この傾向に変化はない。
(畜産需給部 小林 智也)