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肉用牛飼養頭数、10年ぶりに増加


肉用牛飼養頭数、子牛の増加に伴い10年ぶりに増加

ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)によると、2016年6月末時点の肉用牛飼養頭数は、364万8000頭(前年比2.8%増)と、10年ぶりに増加した(図7)。肉用牛飼養頭数の7割を占める北島では、256万8000頭(同1.7%増)とわずかな増加にとどまったが、南島では108万頭(同5.6%増)とやや増加した。

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内訳をみると、北島、南島ともに繁殖雌牛が減少している一方、子牛が増加しており、特に南島においてその傾向が強い。輸出単価の上昇に伴い肉用牛の取引価格が上昇していることから、生産性の低い繁殖雌牛の淘汰を進め、酪農家からの子牛導入を増やしていることが要因となっている。また、南島では、低迷する生産者乳価を背景に、一部の酪農家が肉用牛経営に転換をしていることも要因の一つとみられる。

2016/17年度の牛肉生産量、乳牛淘汰の減少に伴い減少の見通し

BLNZによると、2015/16年度の輸出向けと畜頭数(と畜頭数全体の9割程度)は、248万5000頭(前年度比7.3%減)とかなり減少した(図8)。これは、前年度に米国向けを中心とした輸出需要の増加や生産者乳価の低迷を背景に、乳牛のと畜頭数が大幅に増加した反動によるものである。

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また、2016/17年度のと畜頭数は、244万8000頭(同1.5%減)と引き続き減少すると見込まれている。放牧環境の改善と比較的高い輸出単価を背景に、雄牛のと畜頭数は増加する一方、雌牛については、これまでの生産者乳価の低迷を背景とした高水準の淘汰により、飼養頭数が減少している乳牛を中心に減少すると見込まれている。

と畜頭数の減少に伴い、2015/16年度の輸出向け牛肉生産量(枝肉重量ベース、牛肉生産量全体の9割程度)は、60万4000頭(同7.3%減)と減少している。一方、2016/17年度は、1頭当たりの枝肉重量の増加がと畜頭数の減少分を相殺することで、60万9000頭(同0.9%増)とわずかに増加する見込みとなっている。

牛肉輸出量、中国、韓国向けが好調

BLNZによると、2015/16年度の10月〜翌8月の牛肉輸出量は、44万4164トン(前年同期比1.1%増)とわずかに増加した(図9)。全輸出量の半数近くを占める米国向けは、米国内の牛肉生産量の回復に伴い19万6334トン(同10.5%減)とかなり減少した一方、全体の2割近くを占める中国向けは7万4823トン(同25.6%増)と大幅に増加しており、台湾、韓国、カナダ向けもそれぞれ増加している。

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第一次産業省は、牛肉輸出量の見通しについて、米国向けは、同国からの需要の減少や同国向け輸出単価の下落に伴い減少すると見ている。また、中国市場においては、ブラジル産との競合により、シェアが低下することを懸念している。現在は、中国向け牛肉輸出は冷凍品に限られているが、ニュージーランド政府は、中国政府と同国向け冷蔵品の輸出に向けて協議を進めており、本格的に輸出が開始されれば、冷凍品に比べて高付加価値な冷蔵品が輸出されることで、輸出額の増加に貢献すると期待している。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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