需給動向 海外

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2016年9月は輸出量・生産量とも増加


鶏肉輸出量は堅調に推移

2016年9月の鶏肉輸出量(調製品等を含む)は、日本からの需要が引き続き堅調なことなどから、6万9269トン(前年同月比19.4%増)となり、1〜9月の累計輸出量は55万5892トン(前年同期比8.0%増)となった(図20)。

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品目別に見ると、冷凍鶏肉(カット品)および鶏肉調製品は、円に対しバーツ安となっており、日本向けが好調に推移していることから、それぞれ1万8671トン(同26.2%増)(図21)、4万3201トン(同14.2%増)となった(図22)。

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冷凍加塩鶏肉(EU向け)は、6月にドイツ、オランダ向けが大幅に減少したが、その後は順調に推移し、9月は7350トン(同37.4%増)となった(図23)。

タイ農業・協同組合省畜産局(以下「畜産局」という)によると、2004年の鳥インフルエンザ発生以降冷凍鶏肉の輸出が禁止されている韓国向けについては、現在、輸出再開に向けて同国と協議を進めており、再開は年明けころになると見込まれている。

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鶏肉生産量も引き続き好調

タイ農業・協同組合省によると、2016年9月の鶏肉生産量は、15万7185トン(前年同月比3.9%増)となった(図24)。畜産局は、当初、年間の鶏肉生産量は前年比1%増と予測していたが、これまで全ての月で前年比約4%の増加となっており、堅調な輸出需要を背景に今後もこの生産状況が続く見込みとしている。

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9月の鶏肉卸売価格は1キログラム当たり54.7バーツ(164円:1バーツ=3円、同10.3%高)と、前月(同11.1%高)に続き、かなりの程度上昇した(図25)。

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家畜と畜手数料引き上げの決定に対し、鶏肉業界は異議申し立てへ

畜産局によると、8月に立法議会にて家畜のと畜管理に関する法律の一部改正が可決されたことから、これまで免除されていたブロイラーの1羽当たり手数料(注)は、0.2バーツに引き上げられるもようである。

これを受け鶏肉の関係9団体は、このような手数料はブラジル、中国などの主要鶏肉輸出国には存在しないため、徴収されればタイ産鶏肉輸出に影響を及ぼすとして、同法への異議申し立ての準備を行っている。

ただし、この手数料は、徴収可能な上限の設定であり、これまでどおりブロイラーについては免除になる可能性もある。当該法案の施行時期は今のところ未定となっている。

注: 家畜をと畜する際に政府は、畜種ごとに定められた1頭当たり手数料を徴収している。

(調査情報部 青沼 悠平)


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