平成28年10月の鶏卵卸売価格（東京、M玉基準値）は、堅調な需要で相場高となった前年の反動から、1キログラム当たり211円（前年同月比39円安）と8カ月連続で前年同月を下回った（図9）。
同価格は、梅雨入り以降、夏場にかけて、テーブルエッグ、加工・業務用ともに需要が鈍化し、下げ基調で推移していた。9月以降は、台風などの影響で一部産地で生産量の減少が見られたことに加え、学校給食の再開や大手ファストフードチェーンの鶏卵を使用した商品展開などによる需要の回復もあり、鶏卵相場は上げ基調となった。10月は、秋の冷涼な気候を受け、卵重、産卵率ともに回復傾向が見られた一方で、おでんなどの季節需要が高まり、相場は引き続き上昇傾向で推移した。
今後について、供給面では、さらなる気温の低下で産卵率や卵重が回復し、徐々に生産量は増加すると見込まれる。一方、需要面では、おでんやすき焼き、クリスマス需要のある洋菓子などの需要期に向けて引き合いは強まるとみられ、鶏卵相場は例年通り年末に向けて引き続き上昇していくものと考えられる。
鶏卵の家計消費、購入数量・支出金額ともに増加傾向続く
鶏卵需要の約5割を占める家計消費について見ると、9月の購入数量については、1人当たり847グラム（M玉換算で約14個相当。前年同月比5.5%増）と9カ月連続で前年同月を上回った。また、支出金額については、1人当たり259円（同3.2%増）と19カ月連続で前年同月を上回り、数量・金額ともに好調に推移している（図10）。要因としては、前年に比べて相場安であることから、量販店が積極的に特売を増やし、テーブルエッグの需要が高まったためとみられる。
（畜産需給部 河村 侑紀）