需給動向 海外

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生乳出荷量の減少が続き、乳価は低水準ながらも上昇傾向


生乳出荷量は引き続き減少傾向

欧州委員会によると、2016年8月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比1.6%減の1264万トンとなった(図26)。2015年3月末の生乳クオータ制度の廃止以降、増産基調が続いていたEUの生乳出荷は6月以降、乳価低迷を主な要因として減産傾向となっている。

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加盟国別に見ると、EU最大の出荷国であり全体の21%を占めるドイツが同1.8%減、第2位の15%を占めるフランスが同2.0%減となった。2016年下半期は、10月から実施される生乳出荷削減奨励事業に加え、フランス独自の類似対策も乳用牛の淘汰に拍車を掛けると予測されており、ドイツ、フランスといった主要国を中心に、さらなる減少が見込まれている。

その一方で、出荷量第3位で全体の10%を占めるオランダは4.8%増、第7位の6%を占めるアイルランドは0.8%増となった。EUの増産をこれまでけん引してきた両国は、EU全体が減産傾向となっている中、引き続き増産を維持している。

乳価は上昇傾向

欧州委員会によると、2016年9月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比7.7%安の100キログラム当たり27.79ユーロ(1キログラム当たり32.51円:1ユーロ=117円)となった(図27)。

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同価格は、前月に9カ月ぶりに上昇に転じ、生乳出荷量の減少などを受けて前月比1.4%高となり、2カ月連続の上昇となった。

2016年出荷量予測は前年比0.6%増へ下方修正

欧州委員会は10月、2016年の乳製品需給見通しを公表した。それによると、上半期の生乳出荷量は、昨年1〜3月にクオータ制度の下で多くの加盟国がクオータ超過に対する課徴金を避けるために生産を抑制していた反動もあり、前年同期比3.5%増となったが、下半期については、生産者乳価が前年を大きく下回って推移する中、経産牛の淘汰が1〜7月までの累計で前年同期比6%増となり、6〜8月に減産したことに加え、10月からの生乳出荷削減奨励事業などによりさらなる減産も予想されることから、前年同期比2%減と見込んでいる。その結果、2016年の生乳出荷量は、前回(7月)の需給見通し(前年比1.4%増)から下方修正され、前年比0.6%増と予測されている。

また、今回の見通しの中で、各国政府が抱える脱脂粉乳の公的在庫が懸念材料として挙げられている。同在庫は、市場動向を注視しつつ需給に悪影響を与えないように放出するとされているが、在庫量が年間生産量の3分の1に相当する37万トンに達し、需給に大きな影響を及ぼすことから、そのタイミングは最大の懸念材料の一つとなっている。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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