需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

平成28年度上半期の需給、生乳生産量は前年同期並みにとどまる


平成28年9月の生乳生産量は、58万5529トン(前年同月比1.2%減)と16カ月ぶりに前年同月を下回った(図7)。内訳を見ると、北海道は台風の影響などを受け31万3863トン(同0.9%減)、都府県は27万1666トン(同1.6%減)となり、これまで全体の生産量をけん引してきた北海道での減少が影響した。

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用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは、堅調に推移してきた牛乳消費を反映し、34万9140トン(同3.3%増)と11カ月連続で前年同月を上回った一方、乳製品向けは、牛乳等向けが増加したことにより23万2045トン(同7.3%減)と3カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

上半期の生乳生産量、北海道は増加も都府県で減少

平成28年度上半期(4〜9月)の生乳生産量は、373万7354トン(前年同期比0.2%増)と前年同期並みとなった。地域別に見ると、北海道は199万6199トン(同1.8%増)、都府県は174万1155トン(同1.5%減)となった。北海道の増加要因として、搾乳牛飼養頭数の増加(前年比2.7%増、1万700頭増)、前年度産の飼料(牧草)の品質が高かったことで、1頭当たり乳量が増加したことや、畜産クラスターなどの生産基盤強化対策が一定程度の効果を上げていることなどがある。

一方、都府県の減少要因としては、酪農家の高齢化などによる離農の進行などで搾乳牛飼養頭数が減少していることが挙げられる。

上半期の用途別処理量、牛乳等向けが増加

平成28年度上半期の用途別生乳処理量は、牛乳等向けが204万7002トン(前年同期比1.5%増)、乳製品向けが166万4470トン(同1.1%減)となった。牛乳等向けの増加要因として、健康志向の高まりによるはっ酵乳需要やシリアルなどの消費増による堅調な牛乳消費が挙げられ、上半期の全国・全世帯(2人以上の世帯)の平均の牛乳購入量を見ても、前年同期を1.8%上回っている。

乳製品向けの内訳を見ると、前年度はクリーム等向けおよびチーズ向けから一定量を脱脂粉乳・バター等向けに仕向けていたものの、飲用向けが増加したことから、脱脂粉乳・バター等向け78万4016トン(同0.8%減)、クリーム等向け64万6976トン(同1.0%減)、チーズ向け22万7884トン(同1.9%減)といずれも減少した(表)。

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下半期の生乳生産量、わずかな減少見通し

一般社団法人Jミルクが平成28年9月27日に公表した「平成28年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題について」によれば、下半期(28年10月〜翌年3月)の生乳生産量は、北海道で、生産の主力となる2〜4歳の乳牛頭数の増加幅が縮小しており、加えて夏季の暑熱ストレスや豪雨・台風の影響により、361万9000トン(前年同期比1.6%減)と、前年同期をわずかに下回る見込みとしている。この結果、28年度累計では735万1000トン(前年度比0.8%減)と予測している(図8)。

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農林水産省は10月7日、8〜9月に発生した台風により被害を受けた酪農・畜産農家に対し、経営継続を支援する対策の実施を発表した。当機構では、粗飼料確保緊急対策事業や災害緊急支援対策事業により、台風の被害を受けた酪農家を支援しており、今後、生乳生産量の減少抑制への寄与が期待される。

(畜産需給部 山神 尭基)


				

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