需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成27年の輸入量、13年ぶりに50万トンを超える見通し


 平成27年11月の鶏肉需給は、生産量は12万8755トン(前年同月比3.2%増)とやや増加し、6カ月連続で前年同月を上回った一方で、輸入量は3万9023トン(同6.6%減)とかなりの程度減少し、6カ月ぶりに前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る16万7493トン(同1.6%増)となり、推定期末在庫は前月から285トンを積み増して、14万1413トン(同13.6%増)と、前年同月をかなり大きく上回った。

 推定期末在庫のうち、輸入品は輸入量の減少から1419トン取り崩したものの、依然として12万トンを超える12万143トン(同11.9%増)となった。一方で、国産品は最需要期の年末に向けた凍結回しが増加したことから、1704トン積み増して2万1270トン(同24.6%増)と5カ月ぶりに2万トン台となった(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 輸入量については、消費者の低価格指向に対応する商材として需要が伸びていることから、27年累計(1〜11月)で48万7847トンと、すでに26年累計(1〜12月)の47万5225トンを上回っており、14年累計(1〜12月)の52万4455トン以来、13年ぶりに50万トンを超える見通しとなった(図6)。

 現地相場安の影響から、11月の輸入単価(CIF)は1キログラム当たり286円(同9.9%安)と3カ月連続で前年同月を下回っており、輸入しやすい環境が継続しているものの、輸入品在庫が15カ月連続で前年同月を上回る高水準にあることから、輸入量は6カ月ぶりに前年同月を下回る結果となった。

鶏肉卸売価格、もも肉は9カ月連続で前年同月を上回る

 12月の国産鶏肉卸売価格(速報値)を見ると、主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、クリスマスや鍋物などの季節需要がピークを迎え、1キログラム当たり689円(前年同月比2.7%高)と9カ月連続で前年同月を上回った。一方で、加工・業務筋からの引き合いが強いむね肉は、11月まで36カ月連続で前年同月を上回って推移していたものの、最需要期の仕込みも一服した12月は、同327円と前年同月並みとなった(図7)。

 27年の相場は、年間を通じてもも肉、むね肉ともに前年同月を下回ることなく、高水準で推移した。今後、この相場高により生産者の増産意欲が高まることが考えられ、輸入量が13年ぶりに50万トンを超える見通しの中、推定期末在庫も14万トンを超える水準となっているため、供給過多となることを懸念する声もある。

(畜産需給部 小林 智也)

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