需給動向 海外

◆タ イ◆

2015年11月の生産量、輸出量とも増加


鶏肉生産量は引き続き増加

 タイ農業・協同組合省によると、2015年11月の鶏肉生産量は前年同月比10.7%増の15万1540トンとなり、同年1〜11月の累計では、前年同期比8.2%増の164万3755トンとなった(図15)。

 鶏肉生産量は、EUがタイ産生鮮鶏肉(注)の輸入を解禁した2012年以降、堅調な輸出需要により、前年同月を上回って推移している。また、2015年中頃から米ドルに対してタイバーツ安で推移する為替もこれを後押ししている。

(注)ここでいう「生鮮鶏肉」とは、加熱加工していない鶏肉で、主に、生で加工処理され冷凍したものである。

2015年11月の鶏肉輸出量は日本向けが増加

 2015年11月の鶏肉輸出量は、5万7630トン(前年同月比11.3%増)とかなり増加した(図16)。同月は冷凍加塩鶏肉の輸出量は減少したものの、鶏肉生産量の増加に伴い、冷凍鶏肉(カット品)および鶏肉調製品の輸出が好調であったことが増加要因となった。

 同月の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品、HSコード:020714)は1万3600トン(同11.0%増)とかなり増加した。これは輸出の過半を占める日本向けが、7573トン(同23.8%増)と大幅に増加し、EU向けも1010トン(同2.4%増)とわずかに増加したためである(図17)。

 冷凍加塩鶏肉(HSコード:021099)は、輸出の9割以上を占めるEU向けの減少により、6365トン(同11.0%減)と前年同月と比べ、かなり減少した(図18)。

 鶏肉調製品(HSコード:160232)は、3万7665トン(同16.3%増)と大幅に増加した。これは、日本向けが2万190トン(同24.2%増)と大幅に増加し、EU向けも1万3320トン(同8.0%増)とかなり増加したためである(図19)。

鶏肉業界は、2016年の韓国向け生鮮鶏肉の輸出再開に期待

 タイの鶏肉業界関係者によると、タイと韓国は、韓国向け生鮮鶏肉輸出再開に合意しているものの、韓国側からの鶏肉輸出企業への立ち入り検査などの具体的な動きが見られないことから、タイ農業・協同組合省は、輸出再開を2016年の中頃になると見込んでいる。

 現在、タイから韓国への鶏肉調製品の輸出は年間1万5000トン程度となっているが、タイ鶏肉輸出業者協会は、生鮮鶏肉の輸出再開が実現すれば、タイの鳥インフルエンザ発生前である2003年と同じ年間4万トン程度の需要があると見込んでいる。

(調査情報部 中島 祥雄)

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