需給動向 海外

◆米 国◆

生産量は過去最高を記録し、在庫は積み増し


ブロイラーの平均生体重は過去最高水準

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月23日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2015年11月のブロイラー1羽当たりの平均処理時生体重は、前年同月比1.6%増の2.8キログラム(6.17ポンド)となった。飼料穀物価格安による飼料給餌量の増加を背景に過去最高(6.19ポンド)を記録した前月からほぼ横ばいで推移した。また、同月の処理羽数は、生産コスト安などによる増産意欲の高まりにより、同4.1%増の6億8068万3000羽となった。

 処理時生体重と処理羽数の増加により、同月の鶏肉生産量は同6.2%増の141万6000トンとなった。また、2015年1〜11月の累計では、前年同期比4.2%増の1664万6000トンと前年をやや上回り、過去最高となった(図11)。2016年の生産量についてUSDAは、前年比1.8%増の1855万2000トンと堅調な推移を予測する一方で、需給の緩和による価格低下の生産への影響も懸念している。

鳥インフルエンザによる禁輸措置で輸出量は減少

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が毎月公表している「Monthly US Livestock and Meat Trade」によると、2015年10月の鶏肉輸出量は前年同月比19.9%減の23万6000トンとなった。この要因として、中国や韓国などが米国の鳥インフルエンザ発生に伴う禁輸措置を継続していることが挙げられる。USDAは今後の輸出量について、鳥インフルエンザが2015年6月以降発生しておらず、各国の禁輸措置は徐々に解除されることから、増加傾向で推移すると見込んでいる(図12)。

鶏肉在庫量は大幅に積み増し

 また、USDA/NASSが12月22日に公表した「Cold Storage」によると、2015年11月30日現在の冷凍鶏肉在庫量は、前年比26.6%増の40万トンと前年を大幅に上回った(図13)。この要因として、鶏肉生産量の増加に加え、鳥インフルエンザ発生に伴う各国の禁輸措置による輸出量の減少が挙げられる。2016年の在庫量についてUSDAは、輸出量が徐々に増加するにつれ、取り崩しが進むと見込んでいる。

鶏肉価格は安値で推移

 USDA/ERSが公表した「Wholesale Prices」によると、2015年10月の鶏肉卸売価格(丸どり中抜き)は前年同月比28.4%安の1ポンド当たり74.1米セント(1キログラム当たり199円:1米ドル=122円)と、需給の緩和を背景に2015年3月以降前年を下回って推移している(図14)。部位別に見ると、むね肉は同25.9%安の同106.7セント(同287円)、もも肉は同43.5%安の同32.0セント(同86円)となり、いずれも前年を大幅に下回って推移している。

(調査情報部 渡邊 陽介)

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