需給動向 海外

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生乳出荷量は前年を上回り、価格は低迷が続く


生乳出荷量は7カ月連続で前年同月比増

 ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、2015年10月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比4.1%増の1237万トンとなり、クオータが撤廃された同年4月以降、7カ月連続で前年同月を上回った(図20)。加盟国別では、主要生乳生産国であるドイツ、フランス、英国が前年同月比1〜3%程度の増加にとどまる中、アイルランドはEU28カ国の中で最も増加率が高い前年同月比26.7%増、次いでオランダが同11.4%増と増加している。また、2015年の1月から10月までの累計では、EU全体で1億2709万トンと前年同期を1.5%上回った。

生乳取引価格は15カ月連続前年同月割れ

 欧州委員会によると、2015年11月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比10.6%安の100キログラム当たり30.78ユーロ(4094円:1ユーロ=133円)となった(図21)。EU28カ国のうちマルタを除く全ての国で前年同月割れとなっている。

 乳製品国際相場が低水準で推移する中、生乳出荷量は前年を上回っており、生乳取引価格は15カ月連続で前年同月を下回っている。

脱脂粉乳価格は再び今年最低水準に

 欧州委員会が1月4日に公表した統計によると、直近の2015年12月14日の週の脱脂粉乳の平均卸売価格は、前年同期比8.0%安の100キログラム当たり173.5ユーロ(2万3076円)となった。

 脱脂粉乳の平均卸売価格は、ロシアの禁輸措置などを受けて2014年夏頃から大きく下落し、以降低迷が長引いている。同価格は、2015年8月24日の週には、公的買入価格(同169.8ユーロ(2万2583円))をわずかに下回る同169.0ユーロ(2万2477円)まで下落した。その後、同年10月には同180ユーロ台まで一時的に回復したが、国際的な需給のだぶつき感などを要因に再び下落基調に入り、再び公的買入価格に近づくこととなった(図22)。

 欧州乳業協会(EDA)によると、EU域内の脱脂粉乳の在庫量は適正水準を大きく上回っており、業界では今後の脱脂粉乳価格の回復には相当の期間を要するとの見方が強い。

(調査情報部 大内田 一弘)

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