需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

平成27年4〜11月の牛乳生産量、前年同期比0.4%増


 農林水産省が発表した「牛乳乳製品統計」によると、平成27年11月の牛乳生産量は25万2420キロリットル(前年同月比0.5%増)となった(図8)。4月の乳価改定後は消費の減退が懸念されたが、他の競合商品も価格改定により小売価格が引き上げられたことや、気温がおおむね高めで推移してきたことなどから、牛乳消費の減少はほぼ見られず、27年度累計(4〜11月)では前年同期比0.4%増となっており、業界関係者の間では予想を上回る善戦との声もある。

平成27年度も飲用向け乳価の引き上げを受け牛乳価格はわずかに上昇

 総務省統計局が発表した「消費者物価指数(CPI)」によると、平成27年11月の牛乳の価格指数(22年平均価格を100とした場合)は、店頭売りおよび配達用牛乳の加重平均で107となり、4月の106と比べ1ポイント上昇となった9月以降、3カ月連続で107を維持している(図9)。

 26年4月に消費税率の引き上げを受け約3ポイント上昇した牛乳の価格指数は、27年4月に飲用向け乳価が1キログラム当たり3円引き上げられたことや、生乳需給がひっ迫基調で推移したことなどによりさらに上昇し、以後は106を上回って推移している。

 乳価改定の背景には、円安による飼料価格の上昇をはじめとした生産コストの増加によって、酪農経営は依然として厳しい状況に置かれていることや、酪農家戸数の減少により、生乳生産量が8年度をピークに漸減傾向が続いていることがある。

平成28年度のバター・脱脂粉乳等向け加工原料乳補給金単価、1キログラム当たり12円69銭に引き下げ

 平成27年12月18日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、28年度畜産物価格等が決定した。これにより、加工原料乳生産者補給金単価は、バター・脱脂粉乳等向け生乳が27年度より21銭引き下げとなる1キログラム当たり12円69銭、チーズ向け生乳が前年度より25銭引き下げとなる同15円28銭となった。バター・脱脂粉乳等向けは17年度以来11年ぶり、チーズ向けについては、補給金制度に組み込まれた26年度以降、初の単価引き下げである。なお、交付対象数量はバター・脱脂粉乳等向け生乳が178万トン、チーズ向け生乳が52万トンと前年度同となった。

 一方で、国は酪農家戸数および生乳生産量の減少などにより進行する生産基盤の弱体化を食い止めるため、28年度、酪農生産基盤を確保・強化するための事業を拡充して実施することを決定した。

(畜産需給部 岡 千晴)


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