需給動向 海外 |
生産量は微減に転じるも、価格は依然として前年割れ
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豚枝肉生産量は前年同月比微減に転じる 欧州委員会によると、2015年9月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比0.3%減の189万トンとなった(図9)。加盟国別に見ると、スペイン(前年同月比7.6%増)、イタリア(同14.7%増)は増産を強めている一方、デンマーク(同20.6%減)、ドイツ(同1.2%減)、ポーランド(同3.9%減)などが単月では減産に転じた。 単月では10カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2015年1月から9月までの累計では前年同期比3.8%増の1693万トンと依然として前年を上回っており、2016年1月から実施された民間在庫補助(PSA)による需給改善が期待されている。 豚枝肉卸売価格は26カ月連続前年同月割れ 欧州委員会によると、2015年11月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前月より6.8%安とかなり低下し、前年同月比6.0%安の100キログラム当たり132.31ユーロ(1万7597円:1ユーロ=133円)と、2013年10月以降26カ月連続で前年同月割れが続いている(図10)。EU28カ国のうちルーマニアとスウェーデンを除く全ての国で前年同月割れとなっている。 中国向け輸出量が大幅に増加 2015年1月から10月までの豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同期比8.7%増の140万トンとなった(表4)。 特に、中国向けが同74.8%増の41万トンと大幅に増加した。これに伴いEUの豚肉輸出量に占める中国向けの割合は30%程度に達している。中国向け輸出は、ドイツ、スペイン、デンマークでEU全体の過半を占めており、また、中国の豚肉輸入量が前年から3割程度増加している中、EUのシェアは前年の65%から70%へ拡大している。 そのほかでは、禁輸措置をとっているロシアに代わり、オセアニア(豪州、ニュージーランド)、アジア(韓国、台湾)向けも増加した。EUの2番目の輸出先である日本向けは、北米(米国、カナダ)産との競合により、同15.0%減の24万トンとなっている。 EUの豚肉市場では、豚枝肉生産量の増加などにより、豚枝肉卸売価格が長期にわたり低迷しており、2016年1月から実施された民間在庫補助(PSA)による需給改善とともにさらなる輸出拡大が期待されている。 (調査情報部 大内田 一弘)
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