需給動向 国内 |
豚肉の小売価格、仲間相場低下も高止まり続く
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平成27年11月の豚肉需給は、生産量は7万7492トン(前年同月比9.5%増)と前年同月をかなりの程度上回った。輸入量は冷蔵品を中心に増加傾向が続いており、6万5582トン(同22.8%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る14万7677トン(同4.8%増)となり、推定期末在庫は前月から4656トン取り崩し、15万9303トン(同21.8%減)と、前年同月を大幅に下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 このような状況の中、豚肉の小売価格の高止まりが続いている。近年、豚肉については日本国内および米国で発生した豚流行性下痢(以下「PED」という)の影響による生産量減少や、牛肉の相場高に伴う豚肉への代替需要などから、仲間相場の上昇、ひいては小売価格の高止まりにつながっている。 国産豚肉の仲間相場は平成25年春以降、2年以上にわたって上昇基調で推移している(図4)。これに伴い、小売価格はまず特売価格の上昇が見られた。一方、通常価格は25年冬まではほぼ横ばいでの推移が続いた。しかし、26年春以降はPEDの影響に伴う仲間相場のさらなる上昇が見られたことから、通常価格も上昇し、27年4月以降のロースの通常価格は100グラム当たり250円前後での推移となっている。 一方、国産豚肉と競合関係にある米国産豚肉については、米国で発生したPEDの影響により、26年5月以降に仲間相場が上昇したことに伴い、特売価格、通常価格いずれも上昇した(図5)。特に26年7〜12月頃は特売価格が高水準で推移しており、量販店や食肉専門店において米国産豚肉の販売環境が悪化していたことがうかがえる。 豚肉は牛肉に比べて家庭での消費割合が高く、特に量販店ではわずかな小売価格の上昇が精肉部門の売上高や利益の減少につながりやすいことから、仲間相場の上昇に対して小売価格の上昇幅は小さく抑えられる傾向がある。こうしたことから25年春以降の国産豚肉の仲間相場の上昇に対して、小売価格は緩やかな上昇にとどまっているとみられる。また、仲間相場については、国産豚肉は季節的な変動に加えPEDの影響からの回復などにより27年夏以降、米国産豚肉は現地相場の低下により27年度に入り、それぞれ低下しているものの、小売価格は横ばいで推移している。この背景として、関係者からは小売店において牛肉部門の売上げ減少を、豚肉部門の販売で補っているためとの声も聞かれる。豚肉の小売価格は牛肉の販売状況にも影響を受けることから、今後の相場動向に注視する必要がある。 (畜産需給部 山口 真功)
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