特 集  畜産の情報 2016年2月号


畜産経営の発展におけるバリューチェーンとブランディング
〜岩手県一関市藤沢町 株式会社アークの事例〜

宮城大学 食産業学部 教授 川村 保



【要約】

 ここで紹介する株式会社アークは、農畜産業の6次産業化を個別経営で実現している事例である。養豚業からスタートし、ハム・ソーセージの製造販売、豚肉や食肉加工製品の直売、観光牧場の運営、レストランの経営、さらには循環型農業のキーポイントとなる堆肥製造まで幅広く経営を展開しており、「館ヶ森アーク牧場」、「館ヶ森高原豚」の名前はブランドとして認知されている。本稿では、株式会社アークの取り組みを、バリューチェーンとブランディングの視点から検討する。

1 はじめに

 農畜産業をはじめとする地域の産業の活性化のために6次産業化が有効な手段であることは、今日では多くの人が認めるところであり、実際に全国各地で6次産業化の取り組みが盛んに行われている。畜産業においても、畜産そのものに加えて、畜産食品の加工製造、食肉・畜産食品の卸売りや直売所での小売りなどの流通に取り組んだり、あるいはレストランの経営などの外食や観光牧場などのサービス部門に進出したりする例も、全国で見られるようになっている。6次産業化は農産物や畜産物を食素材として売るだけでは実現できない高付加価値の実現を目指すものでもある。

 6次産業化としては、1次産業=農家が2次産業=地域の工業者、3次産業=地域の商業者という別々の主体と共同で事業を行うことで1次×2次×3次=(あるいは1次+2次+3次=)6次産業化となる場合もあれば、農家が自らの生産物により高い付加価値を形成させるために加工や流通などの分野に進出する例もある。また、川下の加工業者や流通業者が川上の農畜産業に進出してきたりすることで6次産業化が進む場合もある。

 このレポートで紹介する岩手県一関市の株式会社アーク(以下「アーク」という)もそのような6次産業化の事例の一つであり、農家が川下へと進出しながら経営発展していったケースである。もともと、養豚業の経営であったアークは、今日では「館ヶ森アーク牧場」という名前で知られており、豚肉生産のみならず耕種部門も持ち、また、精肉および畜産食品の加工製造、直営レストランの営業、観光牧場の経営のすべてを1経営で行っている。「館ヶ森アーク牧場」や「館ヶ森高原豚」の名前はブランドとして機能しており、畜産業を起点とする6次産業化のきれいな構図を見て取ることができる。

 以下では、アークが行ってきた6次産業化あるいは総合産業化とでも言うべき取り組みについて、バリューチェーンとブランディングの視点から検討してみたい。

2 アークの経営概況

(1)経営の歩み

 アークの経営概況を主に『館ヶ森アーク牧場 総合カタログ Vol. 2』と同社のホームページによりながら、紹介しよう。アークの創業者である橋本輝雄氏は埼玉県深谷市の出身で、大学卒業後に深谷市で父親の文雄氏と共に昭和47年に(有)橋本ファームを立ち上げた。母豚30頭の一貫経営から始めて5年間で母豚200頭規模まで拡大したが、ベッドタウン化が進む中ではこれ以上の規模拡大に限界があると判断し、輝雄氏は新天地での養豚を決意した。

 全国各地を見て回った結果、岩手県南部の東磐井郡藤沢町(当時。現在は一関市藤沢町)の土地に出会って、50年に(有)橋本ファーム岩手牧場を設立し、母豚300頭の一貫経営を始めた。

 その後、同社は10年かけて母豚1000頭規模の一貫経営に成長した。その間に、輝雄氏とパートナーである妻の志津氏の心に「食はいのち」という想いが育まれ、養豚のみならず豚肉加工などの総合的な経営展開へとつながっていく。「食はいのち」という想いは、「自分の愛する家族に安心して食べさせられるもの、そういうものだけを作ること。そうすれば、自信を持ってお客様に食べていただけるのだから」(『館ヶ森アーク牧場 総合カタログVol.2』p.5)という想いである。

 昭和60年には、自家産豚肉を使った手作りハム・ソーセージ事業を開始した。61年には「手づくり(有)館ヶ森ハム工房」を設立し、設備はドイツから購入し、ハム・ソーセージ製造の技術者のユルゲン・シュミット氏を招へいして、製造技術を徹底的に学んだ。

 養豚と手づくりハム・ソーセージの製造が軌道に乗り始めた頃に藤沢町で国営農地開発事業が始まり、そのうちの100ヘクタールの農地を任されることとなり、大規模耕種農業も手掛けることとなった。耕種農業は未経験だったので農業先進国を視察する中でイギリスで見たファームマーケットの構想が生まれ、生産のみにとどまっていた農場を消費者が訪れて、味わえる、学ぶ、遊ぶ、体験する、買うなどのさまざまな楽しみができる場として整備することとなった。このファームマーケット構想は「館ヶ森アーク牧場」と名付けられ、21世紀の農業・農村のあるべき姿を「つくる農業、売る農業、見せる農業、楽しむ農業にすることだ」として取り組まれ、平成4年に「館ヶ森アーク牧場」がオープンした。「館ヶ森アーク牧場」は、約100ヘクタールという広い面積の土地に、牧場、レストラン、ハーブガーデン、直売施設などを完備したファームマーケットとして機能している。創業者の輝雄氏は13年に亡くなられており、現在はご子息の橋本晋栄氏が代表取締役を務めている。

(2)現在の事業内容

 アークは養豚業からスタートしているが、経営の多角化をしながら発展し、今日に至っている。現在の主な事業内容は以下のようなものである。

(1)養豚事業

 「バブコック・スワイン種」という生産効率のみならず精肉の食味や品質を重視した品種で、日本人の嗜好にあうように改良を進めた豚を飼養している。平成25年4月には農場HACCPの認証を取得している。平成27年7月時点では月間6千頭を出荷しており、そのうち約3割は自社ブランドである「館ヶ森高原豚」の名前で販売している(写真1、2)。

(2)牧場事業

 「館ヶ森アーク牧場」として以下のような多くの事業を行っている。採卵鶏(「昔たまご」の名前で販売している放し飼いの環境で産まれた有精卵)の飼養管理、有機野菜生産、観光牧場(ガーデンや景観の整備、動物ふれあい広場など)の運営、飲食店「レストラン ティルズ」の運営、直売施設「ファームマーケット」の運営、通信販売。また、法人に対する営業もこの事業部が担当している(写真3)。

(3)食肉加工事業

 (有)館ヶ森ハム工房という組織を立ち上げ、無添加(注1)でのハム・ソーセージなどの食肉加工やその他のデリカ製品の製造を行っている(写真4)。

(注1)ここで無添加と表現しているのは、館ヶ森アーク牧場での用語法に従っており、「保存料、着色料、結着剤・化学調味料・増量剤を使用していないこと」(『館ヶ森アーク牧場 総合カタログVol2』p.18)という意味であり、本稿でもその用語法に従うこととする。

(4)堆肥製造・リサイクル事業

 畜産に伴うふん尿処理対策としては、旧藤沢町の第3セクターであった堆肥センターを指定管理者として運営するために平成17年度に(有)若葉を設立し、堆肥製造・リサイクル事業を行っている。他社のふん尿処理も受けており、地域にとってのふん尿処理・堆肥製造という役割も果たしている。

(3)館ヶ森アーク牧場

 経営のスタートが養豚業であり、豚肉の生産なしには自社でのハム・ソーセージの加工製造や販売もあり得ないので、養豚事業がアークの経営の要となっていることは明らかであるが、アークの経営をユニークなものとしているのは観光牧場として多くの事業を行っていて、集客や知名度の向上に大きな効果を発揮している牧場事業である。

 緩やかな丘陵地帯に広がる牧場は、入場ゲートをくぐると、花やハーブなどの植栽、羊や鶏の放し飼い施設などの美しく楽しい空間が広がっている。また、「レストラン ティルズ」は、自社生産の豚肉やハム・ソーセージ、野菜などを味わえるし、隣の「ファーム マーケット」では自社の豚肉・豚肉加工品、デリカ類、自社製の小麦を使ったパンやベーカリー商品を購入することができる。若者でも、年配の方でも年代を問わず楽しめて、もちろん子供連れ家族にとっては楽しいレクリエーションの場として機能するように整備されており、冬季以外は多くのお客様を引きつけている。

 観光施設として知名度があり、多くのお客様を獲得していることがアークのブランド戦略にとっては重要な役割を果たしているが、この点については後述する。

3 アークにおけるバリューチェーンの展開

(1)バリューチェーンとは

 ここではバリューチェーンの視点からアークの経営の特徴を考えてみたい。バリューチェーンとは経営戦略論の大家であるマイケル・ポーターが『競争優位の戦略』の中で主張した考え方であり、日本語では価値連鎖あるいは付加価値連鎖と呼ばれる。事業活動を企業の主活動とそれを支援する支援活動に大別し、さらにそれぞれを機能別に分解し、どの部分で付加価値が形成されているのか、またどの部分に強み・弱みがあるかを分析する考え方で、事業戦略の有効性を検討する際にしばしば用いられる。

 一般に、企業の主活動は、購買物流→製造→出荷物流→販売・マーケティング→サービス、という流れに従って川上から川下へと展開していく。また、支援活動は、全般的な管理、人事・労務管理、研究開発、調達などの機能に分かれるが、これらの機能は主活動の全体に関わりを持つ。

(2)アークのバリューチェーン

 図は、アークのバリューチェーンを筆者なりの理解で図解したものである。ここでは、アークの主活動を豚肉および豚肉加工品の製造販売であると考え、観光牧場事業はそれを支援する活動として位置付けて捉えてみた。

 アークにおける付加価値生産においては、バブコック・スワイン種の豚を用いた農場HACCP認証の養豚場における高品質の豚肉生産が大きな意義を持っている。高品質の豚肉の生産が、その後の過程での加工製造・流通販売・レストランのいずれの活動でも付加価値形成の基となっている。例えば、ハム・ソーセージの加工製造の過程においては、「農場HACCP」を取得した農場で生産することで安全性を確保した自社産の高品質の豚肉を原料に、無添加のハム・ソーセージを生産している。直売やレストランにおいて、おいしさと共に明確な製品差別化を実現することにつながっている。また、観光牧場は、主活動の全過程に関わりながら、これらの価値連鎖を実現する場を提供している。

 そのことを象徴的に示している一例が、レストラン ティルズで提供している「館ヶ森高原豚の厚切りとんかつ」である(写真6)。このとんかつは、すべての素材(豚肉はもちろんであるが、揚げるのに使うラード、衣に使うパン粉の原料となる小麦など)が館ヶ森アーク牧場で生産された農畜産物であるという。調査に伺った日に筆者はこのメニューを注文したが、厚切りとんかつそのもののおいしさに加えて、すべての食材が自社の農場産であるというアークのこだわり、ないしは志の高さも強く印象に残った。

 6次産業化の成功事例としてアークのケースを見ると、各段階の活動がいずれもアークという1つの企業の内部で行われていることが特徴的である。6次産業化はしばしば農家と地域の商工業者との連携という形で取り組まれるが、なぜアークの場合は企業の内部で6次産業化(多角化)が行われたのであろうか。この点については、外部的な条件と内部的な条件の双方が関わっているように思われる。外部的な条件としては、アークの創業者である輝雄氏が旧藤沢町に地縁がなかったことと、旧藤沢町がそもそも農業地帯の町で商工業があまり発展していなかった事情が挙げられる。しかも時代を先取りした取組であったために、6次産業化で連携する相手を探すには、取引費用が高かったのである(注2)。また、内部的な条件としては、当初から創業者の輝雄氏と志津氏ご夫妻が「食はいのち」という言葉に集約されるような明確な経営ビジョンを持っていたことが挙げられよう。

 しかし、通常であれば6次産業化であれ多角化であれ、既存の部門とは異なる事業部門を立ち上げるには、人的能力の面で限界が生じることも多い。アークの場合には、経営の外部に人材を求めることや、採用人事やその後の人事研修における配慮によってこの限界を超えている。経営発展においてハム・ソーセージの加工に乗り出したことが多角化のスタートとなっているが、この時にはドイツからハム・ソーセージ製造の技術者を招へいしている。また、事業が拡大するのにつれて、内部からだけではなく、外部からも人材を採用しているし、研修などの際には他の業種の見学などを積極的に行っており、さまざまな分野に対応できるような人材育成にも心がけている。

 アークが生産する豚肉のうち、レストランも含めた自社の販売ルートを経由していくのは全体の2〜3割程度であるとのことであるが、一般の流通ルートに乗るものが大半を占めることは、大手流通企業などによる価格競争にいや応なく巻き込まれることを意味する。現時点でも既に一定の市場評価を得ているが、今後とも、主活動の川下に近い側ではブランド力を高めることや自社の販売ルートを強化していく必要がある。

(注2)取引費用とは、取引の成立に要するすべての費用のことを指し、取引そのものの売買代金以外にも、取引相手を探索する費用や信用調査に関わる費用、書類作成にかかわる費用なども含まれる。

4 アークにおけるブランドの展開

(1)アークにおけるブランドやネーミング

 アークはいくつかのブランドを持っている。「館ヶ森アーク牧場」が最も有名であり、アークの全体を包括するような位置づけのブランドとなっている。「館ヶ森高原豚」は豚肉のブランドである。また、「レストラン ティルズ」、「館ヶ森ファームマーケット」、「昔たまご」などは、ブランドとして確立してはいないが、ネーミングという形で差別化に貢献している。

 そもそも社名のアークとはどのような意味があるのだろうか。『館ヶ森アーク牧場 総合カタログVol.2』によると、アークとは、ヘブライ語で「方舟」を意味するとのことである。旧約聖書「創世記」にある「ノアの方舟」になぞらえて、「日本の農業を未来に残す」という自分たちの牧場の使命を重ねて付けた名前だという。創業者や経営者の理念をブランド名にしているのは、メッセージ性のあるブランドであると言えよう。消費者選好が個別化細分化していく中で、各社がブランディングも含めて激しく競争する中で、メッセージ性のあるブランディングやネーミングは有効なマーケティングの手段となる。

 「館ヶ森」という地名は観光牧場としてのイメージと重なり合い、さらに「アーク」というメッセージ性のある言葉が加わることで、「館ヶ森アーク牧場」というブランドは、かなり強力なブランド力を持っているし、さらに一層のブランド力を発揮することも期待できる。

(2)ブランド形成・維持のための対応

 アークの取締役・牧場事業部本部長兼製造販売部長の田村透氏のお話によると、ここ数年をかけて、館ヶ森アーク牧場や観光のイメージから館ヶ森高原豚のイメージまで、ブランドイメージを統一した形でのブランディングに取り組んでいるとのことであった。今日の市場競争の状況や消費者の商品選択行動を考えると、プロダクトアウトで良い物を作れば売れるという世界でもないし、また、手作り感が漂う雰囲気のブランディングでは消費者をひきつけることは難しい、との判断のようである。見せ方まで気を使わなければならないということであろう。確かに、アークの数年前までの商品パッケージのイメージと現在の商品のパッケージのイメージは異なる。また、『館ヶ森アーク牧場 総合カタログVol.2』の体裁・内容もとても洗練されたものとなっている(写真7、8)。また、アークのホームページも洗練されたデザインと提供している情報量の多さで、アークのブランド構築のための有効な手段となっている。

 また、強いブランドの条件として、ブランドのテーマ性や一貫性が指摘されることがある(注3)。アークにおいては、前述したように創業者である輝雄氏と志津氏ご夫妻の「食はいのち」という想いが、一種のテーマ性を持っている。その想いは「館ヶ森高原豚」や「館ヶ森アーク牧場」にも一貫していることについてはバリューチェーンの説明の中で触れたが、これらのことは『館ヶ森アーク牧場 総合カタログVol.2』やホームページにおいてうまく表現され、ブランド形成の有効な手段となっているものと推察される。

(注3)強いブランドの条件など、ブランド論については、小川〔4〕の第16章を参照のこと。

 一般に顧客は、初めてのお客様から熱心なサポーターのようなお客様まで、グラデーションを持って存在している。初めてのお客様をいかにしてリピーターにして、さらには熱心なサポーターやシンパにしていくかが、顧客対応の課題となっている。アークの場合も、観光牧場へ遊びに来た観光客に自分たちの提供している価値を理解してもらい、各種の商品を購入してもらい、サポーターとなってもらうことが課題となる。アークでは、ネットやSNSを利用してなど、ユーザーに合わせたチャネルで顧客への働きかけを強めていく考えのようであったが、これまで以上にきめ細かな対応をすることで、製品の微妙な差別化についての適切な情報を提供してくことや、顧客に対して「あなたを気にかけています」というメッセージを伝達していくことが求められる。

5 その他の経営上の特徴

(1)人材確保と雇用による地域貢献

 一関市は岩手県の南端に位置し積雪は多くはないが、それでも冬期間は観光牧場を訪れる客は極めて少なくなる。年間を通してコンスタントに仕事がない場合には臨時雇いなどの形での雇用が多くなりがちであるが、アークでは通年での雇用を原則としている(注4)。これは雇用の安定化により、より良い人材を全国から集めるためとのことである。実際に最近では大卒者など、全国から志望者が集まってくる状況となっており、毎年500名ほど接触して4〜5名を採用する状況となっている。

 多角化した経営で、しかもきめ細かな生産対応や顧客対応が求められる状態では、優れた人材の確保は不可欠である。

 他方、観光牧場は面積も広く、花や草木の栽培管理などの人手のかかる作業も必要となる。牧場の近くはいわゆる中山間地であり、農家の高齢化も進み、労働者を集めるのも容易ではなくなっているが、アークでは地元の高齢者の仕事の場を提供している。ゆくゆくは障がい者の雇用の場となるような部門を作ることも検討しているとのことである。また、近隣の地域の人々にとっては雇用の場としてもアークの存在は大きなものがある。現在約110〜120名の従業員が雇用されているが、やはり多くは地元の住民である。

(注4)近所に住む高齢者の雇用のケースなどで一部では、季節雇用もある。

(2)その他の地域への貢献

 雇用の場としての意義は上の通りであるが、その他にも地域への波及効果は大きい。土地利用の面での貢献も大きい。国営の農地開発事業の際に100ヘクタールの農地を引き受けたこと以外にも、遊休農地となったところに畜舎を建てて農場として利用している。また、飼料米を地元から調達することで耕作放棄地を農地として活用することや、食品加工教室などを通じての地域住民との交流という形でも地域貢献している。

6 まとめ

 今日のわが国では地方消滅が危惧され、地方創生のかけ声が聞こえる状況となっている。他方ではTPP交渉の終了に伴い、今後の農畜産業を取り巻く経営環境の悪化が懸念されている。このような状況下では、足腰の強い農畜産業の経営体を育てていくことがますます重要となっている。本レポートで紹介した(株)アークは、まさにその期待に沿うような経営である。

 農畜産業は対象とする作目や畜種によって、あるいは立地条件によって、条件は多様であるために経営発展の道筋も複数あり、アークが唯一の経営発展のモデルということではない。しかし、経営発展のパターンが異なっても、アークに見られた多角化によるバリューチェーンの構築やブランディングのあり方などから示唆されるものは多いのではないかと考えられる。

謝辞

 今回の調査でお世話になりました、株式会社アーク取締役・牧場事業部本部長兼製造販売部長の田村透様および株式会社アークの皆様方に厚く御礼申し上げます。

参考文献

〔1〕『館ヶ森アーク牧場 総合カタログ Vol. 2』2014年

〔2〕「館ヶ森アーク牧場ホームページ」 URL http://www.arkfarm.co.jp/ (2015年11月アクセス)。

〔3〕マイケル・ポーター(1985年)『競争優位の戦略』ダイヤモンド社

〔4〕小川孔輔(2009年)『マーケティング入門』日本経済新聞出版社


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