需給動向 海外 |
肉牛取引価格、高水準を維持 |
フィードロット飼養頭数、記録的な高水準を維持 豪州フィードロット協会(ALFA)および豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2015年9月末日現在のフィードロット飼養頭数は、96万1328頭(前年比5.9%増)となった。また、フィードロット稼働率(収容能力に対する飼養頭数の割合)は84%(同2ポイント増)となり、ともに記録的な高水準を維持している(図5)。これは、最大の生産州であるクイーンズランド州で比較的乾燥した気候が続き、フィードロットの導入頭数が増加したことに加え、堅調な輸出需要が背景にあるとみられている。 一方、今後の見通しについてMLAは、11月の降雨により放牧環境が改善し、肥育生産者の導入意欲が高まっていることや、肥育もと牛の取引価格の上昇を受けて、フィードロット飼養頭数は減少に向かうとしている。 牛肉輸出量、大幅に減少 豪州農漁林業省(DAFF)によると、2015年11月の牛肉輸出量は9万3817トン(前年同月比16.5%減)となった。干ばつ後の牛群再構築に伴う牛肉生産量の減少を反映して、輸出量は4カ月連続で前年同月を下回り、3カ月連続で10%を上回る減少率となっている(表1)。 主な輸出先国別に見ると、米国向けは、米国が豪州産牛肉に対して設けている年間41万8214トンの関税割当(無税枠)に近づいていることを踏まえ、年内の輸出を抑制している結果、前年同月の3分の1の水準まで減少している。また、日本向けについても、日本の輸入在庫の積み増しや円安基調を反映して、5月以降減少傾向が続いている。ただし、米国向けの減少幅の方が大きいため、10月以降、日本向けが豪州にとって最大の牛肉輸出先となっている。 一方、韓国、中国向けは、日本、米国向けの減少を相殺する形で増加傾向が続いており、11月は、ともに米国向けを上回っている。特に中国向けは、同70%を超す増加率となっており、中国の牛肉需要の高さが表れている。 肉牛取引価格、横ばいで推移 MLAによると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2015年11月末日時点で1キログラム当たり591豪セント(532円:1豪ドル=90円)となった(図6)。通常の気象条件であれば、11月からの夏場にかけては南東部を中心に取引頭数が増加し、取引価格は下落する時期であるが、近年は干ばつの影響からそうした傾向は弱まり、2015年も、11月上旬まで上昇し、その後は横ばいという、例年とは異なる値動きを示している。11月上旬の上昇要因としては、干ばつ後の牛群再構築に向けた肥育生産者の導入意欲の高まりが背景にある。その一方で、豪州気象局が発表した向こう3カ月(12月〜翌2月)の気象予測で、南東部が平年以上の高温乾燥気候となる可能性を示したことを受け、肥育生産者の導入意欲が和らいだ結果、取引価格も11月中旬以降は横ばいに転じている。 (調査情報部 根本 悠)
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