需給動向 海外 |
国産牛供給の伸び悩みから牛肉輸入量は引き続き増加見込み |
2015年1〜10月の冷凍牛肉輸入量は前年同期比4割増 2015年1〜10月の冷凍牛肉輸入量は、前年同期比39.8%増の35万8876トン(製品重量ベース)となり、このうち、豪州、ウルグアイ、ニュージーランドおよびブラジルの上位4カ国で8割強を占めた(表2)。中でも、ブラジル産は、2012年12月に同国でのBSE(牛海綿状脳症)発生で輸入停止となっていたが、2015年6月に輸入が再開されたことに加え、香港からの輸入牛肉流入に対する取り締まりが強化された結果、2万5946トンと急増した。 中国では、外食を中心に牛肉消費が増加しているが、国内食品大手の光明食品集団とオランダの金融機関であるラボバンクの調査(「2016年中国食品産業の見通し」)によれば、食肉消費のうち豚肉は成熟市場にあることや食の多様化が進んでいることから、今後消費量が増える食肉は牛肉であり、特に小売販路の拡大などにより家庭での消費が大きく伸びるとしている。 米国農務省(USDA)も、2015年および2016年の牛肉輸入量について、伸長する消費量に対して生産量がほぼ横ばいで推移するため、前年を20%上回るペースで増加すると見込んでいる(表3)。 小売価格は高止まり 2015年11月の牛肉小売価格は、1キログラム当たり67.23元(1277円:1元=19円)と、依然として高止まり傾向にある(図7)。 業界関係者は、国内生産の増加により需給ギャップを解消するには2年程度が必要であり、当分は輸入で対応するしかないとみている。一方で、輸入量の増加は、生産費の上昇に苦しむ肥育農家の経営を圧迫しかねず、長期的な減産要因となることも危惧されている。 生産振興のための大型予算を措置 こうした中、財政部は9月23日、牛肉などの生産能力拡大を目的とした総額10億8800万元(206億7200万円)の予算を措置したことを明らかにした。具体的な内容は不明であるが、財政部は、肥育農家の持続的な生産を推進し、牛肉の需給ギャップ解消につなげたいとしている。 (調査情報部 伊澤 昌栄)
|
元のページに戻る