需給動向 国内

◆牛 肉◆

枝肉卸売価格、前年を大幅に上回る相場高が続く


 平成27年10月の牛肉需給は、生産量は2万8858トン(前年同月比8.9%減)とかなりの程度減少し、7カ月連続で前年同月を下回った。品種別に見ると、和牛が1万3034トン(同8.9%減)、乳用種が9082トン(同7.2%減)、交雑種が6409トン(同11.1%減)と、すべての品種で前年同月を下回った。輸入量は、4万1540トン(同14.9%減)と、現地相場高や高い在庫水準などを背景にかなり大きく減少し、5カ月連続で前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をやや下回る7万2440トン(同3.7%減)となり、推定期末在庫は前月から2220トン取り崩し、14万909トン(同4.5%増)と、前年同月をやや上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

 このような状況の中、東京市場における11月の枝肉卸売価格(速報値)は、和牛去勢A−4が1キログラム当たり2588円(同20.6%高)、交雑種去勢B−3が同1752円(同25.1%高)、乳用種去勢B−2が同1149円(同24.1%高)と続伸した。全国的な出荷頭数の減少などにより、前年を大幅に上回る状況が続いている。

肉用子牛取引価格、出生頭数の減少などにより高水準が続く

 肉用子牛取引価格(全国・雌雄平均)の推移を見ると、黒毛和種については、高齢化や後継者不足による繁殖農家の離農に加え、平成22年の口蹄疫、翌23年の東日本大震災および大規模生産者の倒産の影響による繁殖雌牛の減少、ひいては出生頭数の減少を背景として、24年以降、右肩上がりで推移してきた。27年度に入っても、2割近くの伸び率が続いており、11月は1頭当たり69万3333円(前年同月比18.5%高)と、当機構が取引情報の収集を開始した平成2年度以降の最高値を更新した(図1)。

 ホルスタイン種については、酪農家の離農や乳用牛への黒毛和種交配率の上昇などから出生頭数は減少傾向が続いており、11月は同24万5713円(同65.8%高)と、上昇基調が続いている(図2)。

 交雑種については、酪農家が副産物収入を増やすために、子牛価格の比較的高い交雑種の生産意欲を高めていることを受け、乳用牛への黒毛和種交配率が上昇していることから、出生頭数が増加傾向にある。しかしながら、肉用子牛全体の頭数不足や堅調な枝肉卸売価格などに支えられ、11月は同38万7099円(同9.8%高)となった(図3)。

 農林水産省が11月24日に公表した平成26年度「肉用牛生産費」によると、肉用牛農家の肉用牛1頭当たり全算入生産費は、もと牛導入時期の価格上昇により、もと畜費が増加したことなどを主要因として、全ての品種で増加した。出荷頭数の減少により、枝肉卸売価格も上昇が続いているものの、その一方で小売価格の上昇から消費者の牛肉離れが懸念されており、生産基盤の早急な強化が望まれる。

(畜産需給部 二又 志保)

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