需給動向 国内 |
10月の推定期末在庫、最需要期を前に増加 |
平成27年10月の鶏肉需給は、生産量は13万5207トン(前年同月比3.1%増)とやや増加、輸入量は5万7220トン(同20.4%増)と大幅に増加し、ともに5カ月連続で前年同月を上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る18万2847トン(同2.1%増)となり、推定期末在庫は前月から9580トンを積み増して、14万1128トン(同15.0%増)と、前年同月をかなり大きく上回った。 推定期末在庫のうち、輸入品は輸入量の大幅な増加により、12万1562トン(同16.0%増)、国産品は年末の最需要期に向けた凍結回しが増加していることから、1万9566トン(同9.6%増)と在庫水準が上昇している(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 このような状況の中、11月の鶏肉卸売価格(速報値)は、もも肉が1キログラム当たり672円(同6.0%高)と8カ月連続、むね肉が同344円(同3.6%高)と36カ月連続でいずれも前年同月を上回った(図7)。 10月の鶏肉輸入量、13年ぶり高水準の5万7千トン台 平成27年10月の鶏肉輸入量は5万7220トン(前年同月比20.4%増)と、14年1月の5万8665トン以来の5万7000トン超えとなった。国別に見ると、全体の約8割を占めるブラジル産が4万3641トン(同10.8%増)とかなりの程度増加したほか、タイ産が25年12月の輸入再開以来、初めて1万トンを超え1万63トン(同91.9%増)、米国産も24年10月以来、3年ぶりに3000トンを超える3076トン(同30.9%増)と、いずれも大幅に増加した(図8)。10月は、現地相場安の影響を受けて、輸入単価(CIF)は1キログラム当たり284円と、前年同月比で8.7%低下しており、国産品の在庫の減少や、12月の最需要期に向けた加工・業務用の仕込みなどの準備が佳境ということもあり、手当てが活発化したものと思われる。 なお、加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなどの鶏肉調製品の輸入量は3万8982トン(同8.1%増)となった(図9)。国別に見ると、タイ産は、2万3560トン(同20.6%増)と大幅に増加し、27年に入ってから全ての月で前年同月を上回って推移している一方で、中国産が1万5211トン(同6.6%減)とかなりの程度減少した。26年7月の中国産「消費期限切れ鶏肉」問題発生から1年が経過したが、消費者の中国産離れは継続しており、タイ産および国産への移行が続いていることがうかがえる。 なお、鶏肉と鶏肉調製品を合わせた輸入量は9万6202トンと、24年11月の8万9277トンを上回り、過去最大となった。 (畜産需給部 小林 智也)
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