需給動向 国内 |
平成27年第2四半期(4〜6月)における北海道の乳用牛への黒毛和種交配率は20.7%と2期連続で20%を上回った(一般社団法人日本家畜人工授精師協会「都道府県別人工授精頭数」)。北海道は乳用牛の生産拠点であり、26年度の出生頭数は16万1243頭と国内全体の約7割を占め、うち2割弱に当たる3万5761頭が都府県への移動頭数となっている(一般社団法人Jミルク調べ)。そのため、北海道での乳用牛生産の動向は、国内の乳用牛市場に大きな影響を与える。 黒毛和種の交配率は高水準で推移 北海道における過去10年間の乳用牛への黒毛和種の交配率は、年平均15〜19%程度で推移してきたが、平成26年は20.4%で最大となった。 四半期別の推移を見ると、24年第4四半期(10〜12月)の15.2%以降は上昇傾向にあり、26年第1四半期(1〜3月)に3年ぶりに20%を超えて以降、26年第4四半期を除いて20%を上回る高水準で推移している(図10)。 堅調な初生牛取引価格が要因 黒毛和種の交配率が上昇傾向にある主要因として、交雑種初生牛の市場取引価格が堅調に推移していることが挙げられる。交雑種初生牛の取引価格は、平成23年6月に1頭当たり約15万円となって以降大きく低下し、同年8月〜翌年2月までは10万円を下回る水準で推移した。その後、24年10月を底に上昇傾向に転じ、26年6月には18万975円に達した。その後、一時的に15万円前後まで低下したものの再び上昇に転じ、27年7月には22万4914円と過去最高価格を記録した(図11)。 将来的な乳用牛の減少の恐れ 飼料価格の高止まりなどによる生産コスト上昇により、酪農家にとって厳しい経営環境が続く状況下にあって、初生牛の販売収入は重要なものとなっている。しかし、乳用牛に対する黒毛和種の交配率が、高水準で推移する状況が継続した場合、後継牛の不足から今後の生乳生産量の減少に結びつくほか、北海道から乳用牛を導入するケースが多い都府県の酪農家の経営に影響を及ぼすことが懸念される。 (畜産需給部 岡 千晴)
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