需給動向 海外 |
生乳生産、減少傾向が続く
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生乳生産、3カ月連続で減少 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2015年10月の生乳生産量は321万1000トン(前年同月比2.7%減)と3カ月連続で前年同月を下回った(図22)。9月(254万5000トン、同7.5%減)に比べると減少幅は縮小したものの、2015/16年度(6月〜翌5月)の累計(6〜10月)は750万4000トン(前年同期比3.5%減)と減少傾向で推移している。 ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカーのフォンテラ社は、2014年以降の乳製品国際価格の低迷に伴う乳価の下落によって、酪農家の増産意欲が減退し、補助飼料の給与を削減していることが、生乳生産量減少の要因の一つとしている。 なお、現地報道によると、乾燥気候が続いており、酪農経営に悪影響をもたらしているとしている。かんがいが整備されている南島では、2015年の降水量が前年比2割近く減少しており、地域によっては取水制限を実施するなど、深刻な乾燥状態であるとの声も聞かれている。 乳製品輸出量、チーズと脱脂粉乳が増加 NZ統計局(Statistics NZ)によると、2015年10月の主な乳製品の輸出量は前年同月と比べて、チーズと脱脂粉乳は増加したが、バターおよびNZの輸出主力製品である全粉乳は減少した(図23)。 ・脱脂粉乳 3万5855トン(前年同月比 5.3%増) ・全粉乳 11万 749トン( 同 7.1%減) ・バター 4万7911トン( 同 7.1%減) ・チーズ 2万8813トン( 同 30.0%増) 品目別に見ると、チーズは、豪州や中国向けが大きく増加している。全粉乳は2カ月連続で前年同月を下回っているものの、主要な輸出先である中国向けは前年同月を上回った。バターについては、主要な輸出先である中国やロシア向けの減少の影響を受け、輸出量が減少している。 乳製品国際価格、バター除き下落傾向 2015年11月17日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(図24)。 バターは11月3日開催の前回比で上昇に転じたものの、それ以外の品目については、10%近く下落した前回開催の入札から続落した。特に全粉乳の落ち込みが顕著で、10月6日(3回前)と比較すると、24%もの下落幅となっている。 現地報道によると、主要輸出国で十分な在庫を有していることや、EUなど乳製品の主要輸出地域で、NZの生乳生産量の減少を十分に補えるほどの増産が見込まれることを下落要因としており、乳製品国際価格は引き続き低調に推移するとしている。 フォンテラ社、中国市場での売り上げ倍増を目指す フォンテラ社のCEO(最高経営取締役)は、11月9日にNZで開催された中国ビジネスサミット(中国での事業進出を行っている企業が一堂に会する会議)において、同社の中国での売り上げ目標を5年かけて100億NZドル(8200億円:1NZドル=82円)に倍増させる計画であることを明らかにした。100億NZドルの売り上げの内訳については、6割が全粉乳をはじめとした原料部門、2割が食品サービス、残り2割が消費者向け乳製品としている。 中国向け粉乳輸出額は、2009年から2014年までの5年間で10億NZドル(820億円)から40億NZドル(3280億円)まで増加したが、中国内での在庫の積み増しもあり、2015年は再び10億NZドル(820億円)程度まで減少すると見込まれている。現在は需要が低迷している中国市場について、高い品質の乳製品を好む4〜5億人もの中間所得層の存在や、高栄養価の粉ミルクを必要としている高齢者層の増加、また、一人っ子政策の廃止による出生率の増加見込みや電子商取引の発達といった要因を考慮すれば、消費者向け乳製品は非常に高い需要を秘めているとしている。 (調査情報部 竹谷 亮佑)
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