需給動向 海外 |
豚枝肉生産量の増加で豚価は依然低迷
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スペインとイタリアなど輸出国で増産傾向 欧州委員会によると、2015年7月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は前年同月比2.2%増の187万トンとなった(図11)。また、2015年1〜7月の累計で見ると、前年同期比57万トン増(4.5%増)と増産基調にある。この期間に最も増加したのはスペイン(同8.1%増)で、次いでイタリア(同15.2%増)となっている。EU域内では増産により豚肉需給が緩んでいることから豚枝肉卸売価格は低迷している。しかし、米ドルに対してユーロ安で推移する為替相場などを要因に、主要豚肉輸出国の増産傾向は一層強くなっており、通年では前年比3.6%増の2295万トンの見込みとなっている。 豚枝肉卸売価格は25カ月連続前年割れ 欧州委員会によると、2015年10月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前月より3.2%値を下げ、前年同月比1.0%安の100キログラム当たり141.97ユーロ(1万8598円:1ユーロ=131円)となった(図12)。 豚枝肉卸売価格は2015年に入り、輸出が伸びているとはいえ、回復の兆しが見られない状態にある。 緊急支援策、2016年1月から実施 こうした中、欧州委員会は11月16日、豚肉価格の安定を図るため、緊急支援策として、2016年1月から民間在庫補助(PSA)を実施することを公表した。欧州委員会は、PSAの実施については2015年9月15日に表明していたものの、その実施時期については、市場の状況を見て判断するとしていた。 PSAは、EU加盟国の民間企業が保管する豚肉の保管費用の一部を、欧州委員会が補助するものであり、対象となる豚肉を市場から隔離することで、域内の市場価格の底上げを図ることを目的としている。 PSAは、直近では2015年3月9日から8週間にわたって実施され、合計6万トンの豚肉が市場隔離されたが、当時は期待されるほど価格は回復せず、さらなるPSAの実施を望む声が多かった。今回は、今期2度目の実施となり、その効果が期待されている。 (調査情報部 大内田 一弘)
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