需給動向 国内 |
10月の冷蔵品輸入量、過去最高を更新
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平成27年10月の豚肉需給は、生産量は7万8998トン(前年同月比0.9%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は7万5823トン(同24.1%減)と、セーフガード回避のため、9月から10月に通関の繰り延べを行い、輸入量が増加した昨年の反動により、前年同月を大幅に下回った。推定出回り量は前年同月をやや下回る16万553トン(同5.5%減)となり、推定期末在庫は前月から5789トン取り崩し、16万3959トン(同25.7%減)と、前年同月を大幅に下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 平成28年1〜3月、供給量に注視必要 平成27年10月の冷蔵品輸入量は、3万1587トン(前年同月比9.0%増)と、本年7月の3万1145トンを上回り、過去最高を更新した。米国において、豚流行性下痢(PED)の沈静化に伴う増産基調、現地相場安が続いており、輸入業者は冷蔵品の買い付けを増やしているため、輸入量は6月以降、前年を上回る水準で推移している。 このような状況の中、輸入冷蔵品と競合関係にある国産豚枝肉の卸売価格は、9月に大きく低下し、10月には1キログラム当たり471円まで低下した(図4)。このように需給がやや緩んでいることから、末端需要は輸入冷蔵品から国産品へとシフトしており、一部の輸入冷蔵品では凍結回しや投げ売りもみられているとの声も多い。 今後、輸入冷蔵品は、国内相場を踏まえた買い付け量になるとみられるものの、米国の現地相場は季節性を除いて上昇要因が見当たらず、買い付けしやすい環境は当面継続するとみられる。一方、国内生産については、農林水産省が毎月公表している「肉豚出荷予測」によると、28年1〜3月の出荷頭数は前年同月を上回る水準が続く見通しとなっており、年明けの動向に注視する必要がある。 豚肉の家計消費、堅調に推移 総務省が毎月公表している「家計調査報告」を基に算出した、平成27年4〜10月までの全国一人1カ月当たりの豚肉購入量および購入金額は、共に堅調に推移しており、過去5カ年において、いずれも最高となっている(図5、図6)。これは、牛肉の小売価格上昇に伴い、価格優位性のある豚肉に需要がシフトしていることに加え、冷蔵品豚肉輸入量の増加に伴う特売回数の増加などが購入数量の増加、ひいては金額の増加に大きく影響しているものと考えられる。 (畜産需給部 山口 真功)
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