需給動向 国内 |
4月の豚肉冷凍品輸入量、前年同月を6カ月ぶりに下回る |
平成28年4月の豚肉需給を見ると、生産量は7万4297トン(前年同月比0.1%増)と7カ月連続で、輸入量は7万6105トン(同4.1%増)と6カ月連続で、いずれも前年同月を上回った。輸入量のうち主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、3万937トン(同10.9%増)と11カ月連続で前年同月を上回って推移している。一方、主に加工・業務用に使用される冷凍品は、北米産が大幅に減少したことにより4万5166トン(同0.1%減)と6カ月ぶりに前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る14万6269トン(同5.4%増)となり、推定期末在庫は前月から4083トン積み増し、17万3463トン(同7.7%減)と、前年同月をかなりの程度下回った。なお、生産量については、熊本地震の影響により、農林水産省の統計調査において熊本県の一部と畜場の調査票が回収できなかったことから、熊本県を含まない数値であり、前年同月比は、熊本県を除いた数値を用いて算出した(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
4月の豚肉購入金額、38カ月ぶりに前年同月を下回る
豚肉需要の約5割を占める家計消費について見ると、4月の全国一人1カ月当たりの購入数量は、13カ月連続で前年同月を上回る563グラム(前年同月比2.2%増)と好調に推移している。一方、購入金額については、近年の相場高を背景に平成25年3月以降、前年同月を上回って推移していたが、4月は742円(同1.6%安)と37カ月ぶりに前年同月を下回った(図2、図3)。
5月の豚枝肉卸売価格(速報)、600円に迫る水準に
4月の豚枝肉卸売価格(省令)は、前年同月並みの出荷頭数となったことに加え、3月に冷蔵品輸入量が過去最高となったことから、1キログラム当たり489円(前年同月比16.6%安)と8カ月連続で前年同月を下回った(図4)。
しかし、5月の同価格(速報)は、大型連休後には、500円台後半まで上昇し、中旬以降は、600円を上回って推移したことから、同591円と、600円に迫る水準となった。また、6月上旬には700円を上回る日があったものの、中旬には、500円台まで低下し、同595円(6月16日現在)となっている。
関係者によると、東京・大阪市場では、例年と比べ上場頭数が少なくなっている中、産地を指定した購買により相場が押し上げられ同価格の上昇につながったものとみられる。
なお、当機構が行っている食肉の販売動向調査結果(注)では、小売業者の28年度上半期の豚肉販売見通しとして、前年度と比較して「他畜種からの需要シフト」により増加するという回答が多く挙げられ、需要も引き続き好調に推移すると思われる。しかし、価格の高騰による需要減退を懸念する声も聞かれており、今後の生産および輸入など価格水準に影響を与える要因の動向に注視していく必要がある。
注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。なお、本アンケート調査の全文は当機構ホームページに掲載している。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)
(畜産需給部 小林 智也)
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