需給動向 海外 |
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2015年は生産量および輸出量ともに前年超え |
生産量は2016年がピークの見込み
欧州委員会によると、2015年の牛肉生産量(EU28カ国)は、牛肉生産の多くを占める酪農部門が同年4月の生乳クオータ制度の廃止を受けて拡大したことなどから、前年比3.6%増の759万トンとなった(表1)。
加盟国別に見ると、増加量の多い順に、イタリアが前年比11.1%増、ポーランドが同14.1%増、スペインが同9.5%増となり、EU全体の増産をけん引した。
また、2016年1月は、前月から6.3%減少し、前年同月比2.9%減の61万トンとなった(図4)。
加盟国別に見ると、EU最大の牛肉生産国のフランスは同2.7%減、同2位のドイツは同10.2%減、同3位の英国は同4.4%減となった。
欧州委員会は、今後の牛肉生産量について、乳価低迷で酪農部門の拡大が限定的とされることから、2016年は増加するものの2017年以降は緩やかに減少するとしている。
去勢牛の価格が低下傾向
欧州委員会によると、2016年3月の牛枝肉卸売価格(EU28カ国)は、雄牛が前年同月比1.5%安の100キログラム当たり372.69ユーロ(4万7332円:1ユーロ=127円)、去勢牛が同12.8%安の同396.89ユーロ(5万405円)となった(図5)。
2015年は、米国の生産減などによる輸出需要が生じて価格は堅調に推移していたが、2016年に入り米国の供給量の復調およびEUにおいて生産が増産基調にあることから、特に去勢牛価格の下落が進んでいる。
欧州委員会は、今後、米国やアジアの需要は引き続き堅調なものの、南米や豪州の供給量次第で価格は変動するとしている。
2015年の輸出量は前年比4.1%増
欧州委員会によると、2015年の牛肉輸出量(EU28カ国)は、前年比4.1%増の18万1712トンとなった。内訳は、冷凍品は同6.3%減の8万8101トン、冷蔵品は同16.3%増の9万3611トンとなっている。
EUは、2014年8月から実施されているロシアによるEU産農畜産物の禁輸措置により、それまで最大の輸出先であったロシア市場(2014年のシェアは15.9%)を失ったが、新たな輸出市場の開拓などを進めている。
冷凍品については、前年割れとなったが、トルコ向けが約10倍増の8930トンとなり、現在の最大の輸出先である香港(1万872トン)に迫ろうとしている。また、その他では、アジアではベトナム向けが約2倍増の3546トン、アフリカではガボン向けが約3倍増の3104トンと大幅に増やしている。
前年を大きく超えた冷蔵品についても、EUから近いボスニア・ヘルツェゴビナ向けが前年比23.7%増の3万50トン、アルジェリア向けが同60.3%増の6064トンと大幅に増やしている。
欧州委員会は、主要通貨に対してユーロ安で推移する為替相場などの後押しも見込まれることで、2016年の輸出量は前年をやや上回るとしている。
(調査情報部 大内田 一弘)
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