需給動向 海外

◆ウルグアイ◆

2015年の牛肉輸出量、前年比6.0%増


中国向けが大幅増

ウルグアイ中央銀行によると、2015年の牛肉輸出量(製品重量ベース)は、前年比6.0%増の25万9496トンとなった(表2)。



品目別に見ると、冷蔵品は3万9787トン(前年比0.3%減)と前年並みとなった一方、冷凍品は21万9709トン(同7.2%増)とかなりの程度増加した。冷凍牛肉は、主要輸出先国であったロシア向けが原油などの資源安に伴う購買力低下を受けて減少したものの、中国向けと米国向けが大幅に増加したことで好調に推移した。

近年、ウルグアイは、最大輸出先の中国の需要が経済成長に伴い旺盛な上、米国や欧州も需要が堅調に推移していることから、世界第7位の牛肉輸出国として国際市場での存在感を高めている。特に、欧米諸国からは、全ての牛を対象としたトレーサビリティ制度が整っていることに加え、ヘレフォード種やアンガス種といった欧州品種が良質な牧草主体の環境で肥育され、安全性が高い高級牛肉として強い引き合いがある。

牧草地の減少で、フィードロットが拡大

ウルグアイの国土は17.6万平方キロメートルで日本の約半分と小さい中、近年の大豆生産の拡大により、牧草地が中長期的に減少し牛肉生産に影響が生じる可能性が指摘されてきた。しかしながら、同国では2013年に土壌を保護するという目的で、実質的に大豆偏重の土地利用を規制する法律が施行され、100ヘクタール以上の農地を有する生産者に対して作物ローテーションが義務付けられたことから、牧草地の減少速度が緩和した状況にある。

一方、将来的には大豆を中心とした穀物生産拡大の流れが続く見通しであることから、単位面積当たりの生産性を高めるべく、フィードロットによる集約的な牛肉生産が漸増傾向にある。フィードロット生産は、牧草の生育が悪化する乾季を中心に行われているが、周年化も徐々に進展している。と畜頭数に占めるフィードロットの割合は、2014年に9%程度であったが、2016年には12〜14%まで増加することが見込まれている。

2016年の輸出量は微増の見込み

米国農務省海外農業調査局(USDA/FAS)によると、2016年のウルグアイの牛肉生産量は、前年比0.9%増の57万5000トン(枝肉重量ベース)と見込まれている(図13)。2013〜14年にかけて子牛生産が伸びたことから、出荷時期を迎える2016年には牛肉生産が増加すると見込まれている。また、牛肉輸出量は、中国などの好調な需要を受けて、2008年以降最高となる同1.9%増の38万トン(同)と予測されている。



同国では、現在、肉用牛出荷価格が低迷して生産者の利益が少なくなっていることから、雌牛を保留せずに出荷するケースが増加すると予測されており、2016年末の牛飼養頭数は、同1.2%減の1192万3000頭と見込まれている。

なお、2015年に中国系企業がウルグアイの牛肉パッカーを買収したが、今後、さらなる買収も見込まれており、今後の中国の動向に注目が集まっている。

(調査情報部 米元 健太)


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