需給動向 海外

◆米 国◆

牛肉輸出量は今後、堅調に推移する見込み


2016年3月の牛肉生産量は、前年同月をかなりの程度上回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が4月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年3月の牛のと畜頭数は、前年よりと畜日が1日多かったことに加え、去勢牛を中心に出荷頭数が増加傾向で推移していることから、前年同月比6.4%増の253万2300頭となった。また、平均枝肉重量は、同2.0%増の377キログラムとなった。この要因としては、飼料穀物価格が安値で推移する中、肥育牛価格が低調に推移していることを受け、フィードロット側が肥育期間を長期化していることが挙げられる。この結果、同月の牛肉生産量は、前年同月を8.4%上回る95万700トンとなった。(図1)

2016年下半期の牛肉価格は、低調に推移する見込み

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が4月28日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年4月の肥育もと牛価格は、供給頭数の増加を背景に、前年同月比31.2%安の100ポンド当たり174米ドル(1キログラム当たり426円:1米ドル=111円)となった。また、同月の牛肉卸売価格(注)は、同14.9%安の100ポンド当たり219米ドル(1キログラム当たり536円)となり、2015年7月以降、10カ月連続で前年同月を下回った(図2)。

USDAは、今後の牛肉卸売価格について、主要生産州のフィードロット導入頭数が、2016年2月に8カ月ぶりに前年同月を上回った後、続く3月も同5.0%増となったことを受け、これらの肉牛が出荷される2016年下半期は低調に推移すると見込んでいる。

(注) チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。

ペソ安を受け、メキシコ向け輸出量は減少

USDA/ERSが4月6日に公表した「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年2月の牛肉輸出量は、香港や台湾などのアジア向けが好調であった一方、米ドルに対しペソ安で推移する為替相場を受けて、最大の輸出先国であるメキシコ向けが前年同月をかなり大きく下回ったことなどから、7万8200トン(前年同月比3.2%減)となった(図3)。ただし、今後の牛肉輸出についてUSDAは、米国内での供給量増加に伴う卸売価格の低下により輸出需要が高まるとした上で、2016年は、主要牛肉輸入国において、牛群再構築の進展などに伴って輸出量が減少している豪州産に代わり、米国産が大きなシェアを獲得すると見込んでいる。

(調査情報部 野田 圭介)


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