需給動向 国内 |
平成27年度の鶏肉需給、生産量・推定出回り量共に過去最高を更新 |
平成28年3月の鶏肉需給は、生産量は13万2656トン(前年同月比4.1%増)と前年同月をやや上回り、2カ月連続の増加となった。輸入量はブラジル産、タイ産などの増加により、4万4389トン(同30.2%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は前年同月をやや上回る17万7580トン(同5.6%増)となり、推定期末在庫は前月から535トンを取り崩して、15万6444トン(同33.3%増)と、前年同月を大幅に上回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
生産量、過去最高を記録
平成27年度の鶏肉生産量は、5年連続で増加し、過去最高の153万6086トン(前年度比2.2%増)となった。堅調に推移する鶏肉相場により、生産者の増産意欲が高まったためと見られる。(表3、図5)。
鶏肉輸入量、14年ぶりの高水準
平成27年度の鶏肉輸入量は、前年度をかなりの程度上回る55万892トン(前年度比10.5%増)と、14年ぶりに50万トンを超える高水準となった。国産鶏肉の相場高や、輸入価格(CIF価格)が1キログラム当たり280円(同8.5%安)と低下したことなどが影響したとみられる。
国別に見ると、全体の約8割を占めるブラジル産は、42万5930トン(同4.9%増)、タイ産は、9万6221トン(同53.0%増)といずれも増加した。
また、鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)の輸入量は、40万9641トン(同0.8%増)とわずかな増加にとどまった。
国別に見ると、中国産は16万7641トン(同16.1%減)と大幅に減少した一方で、タイ産は23万9817トン(同17.5%増)と大幅に増加しており、26年7月に発生した中国産「消費期限切れ鶏肉」問題を契機とした中国産からタイ産への移行が継続する結果となった。
推定出回り量、過去最高となる200万トン超え
平成27年度の推定出回り量は、204万7902トン(前年度比3.2%増)と11年連続の増加となり、初の200万トン超えを記録した。このうち国産品は、153万294トン(同1.5%増)とわずかに増加し、輸入品は、消費者の低価格志向や加工・業務用需要の高まりから、51万7608トン(同8.7%増)とかなりの程度増加した。この結果、全体に占める国産品のシェアは74.7%、輸入品のシェアは25.3%となった。
推定期末在庫、15万トンを上回る高水準
平成27年度末の推定期末在庫は、15万6444トン(前年度比33.3%増)と年度末在庫としては過去最高となった。このうち輸入品は13万3269トン(同33.3%増)、国産品は2万3175トン(同33.3%増)といずれも前年度を大幅に上回った。鶏肉の出回り量が好調に推移する一方で、需要を上回る高水準の輸入量となったためとみられる。
鶏肉卸売価格、もも肉・むね肉共に前年度を上回る
平成27年度の鶏肉卸売価格(東京)は、1月以降、輸入量の増加などから下落基調となったものの、上半期の堅調な推移を受け、年度平均では、もも肉が1キログラム当たり649円(前年度比3.7%高)、むね肉が同327円(同5.0%高)といずれも前年度をやや上回った(図6)。
(畜産需給部 河村 侑紀)
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