需給動向 海外

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2016年3月は鶏肉生産量、輸出量ともに増加


鶏肉生産量は前年同月比13.3%増の15万6802トン

タイ農業・協同組合省によると、2016年3月の鶏肉生産量は、15万6802トン(前年同月比13.3%増)となった。(図21)。

鶏肉卸売価格は、生産量の増加に対して需要が旺盛なことから1キログラム当たり53バーツ(同12.8%増)となった(図22)。

農業・協同組合省によると、鶏肉需給は当面、タイ農業に深刻な影響を与えている干ばつの被害が、大規模生産者を中心に水源が確保されて最小限に抑えられたことから、安定するとしている。今後は、4月のソンクラーン(注)をはじめとした連休などによる需要期に向け、鶏肉卸売価格が上昇するとみられていることから、鶏肉企業の生産意欲は高まるとしている。

(注)タイの旧正月で、各年4月13〜15日。

鶏肉輸出量は前年同月比15.4%増の6万6078トン

2016年3月の鶏肉輸出量は、6万6078トン(前年同月比15.4%増)となった(図23)。

同月の輸出量を品目別で見ると、冷凍鶏肉(カット品)は1万7083トン(同17.7%増)となった。これは、EU向けが減少した中、日本をはじめとした主要輸出先への輸出量が軒並み大きく伸長したことによる(図24)。中でも、輸出先国第2位のラオス向けは、5905トン(同46.2%増)と急増した。

冷凍加塩鶏肉は、輸出の9割以上を占めるEU向けの伸長により、8856トン(同28.2%増)となった(図25)。

鶏肉輸出において、EUは輸出量全体の39.5%を占め、日本に次いで第2位の輸出先となっている。農業・協同組合省農業経済局によると、2016年のEUの需要は引き続き拡大すると見込まれることから、冷凍加塩鶏肉の輸出量は引き続き伸長するとされている。

鶏肉調製品は、EU向けの伸長により4万139トン(同12.0%増)となった(図26)。輸出量の半分近くを占める日本向けは、食の簡便化と消費者の低価格志向に対応する商材として需要が拡大していることから、今後も伸長すると見込まれている。

鶏肉業界、日本のインバウンド需要に期待

タイの鶏肉業界関係者によると、日本向けの鶏肉輸出は近年、日本人だけでなく、アジアを中心とする外国人の日本旅行ブームによるインバウンド需要により伸長しているという。2016年は、日本市場で競合するブラジルがオリンピック開催に伴う国内需要伸長により、日本向け鶏肉輸出を減少させると見込んでいる。また、日本のインバウンド需要も、中国人などの日本旅行の目的が買い物から食や文化の体験にシフトしていることから、さらに拡大すると見込んでおり、タイ産鶏肉の日本向け輸出をさらに伸長させたいとしている。

(調査情報部 伊澤 昌栄)


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