需給動向 海外

◆米 国◆

2016年の生産量は増加見込み


生産量は過去最高を更新

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が4月25日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2016年第1四半期(1〜3月)の鶏肉生産量は、前年同期比3.3%増の455万3000トンとなった(図17)。処理羽数は、と畜日が多かったことなどから同1.8%増の21億5945万8000羽となった。また、1羽当たりの平均処理時生体重は、飼料穀物価格が安値で推移したことなどにより、同1.3%増の2.8キログラムとなった。

2016年の鶏肉生産量についてUSDAは、飼料コスト安や輸出量の増加などにより、飼養羽数および生体重が増加傾向で推移することから、過去最高となった前年を2.6%上回る1864万3000トンと見込んでいる。

在庫量は高水準を維持

USDA/NASSが4月22日に公表した「Cold Storage」によると、2016年3月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、前年比4.6%増の35万7000トンとなった。依然、同在庫量は、高水準であるが増加幅は縮小している(図18)。主要部位別に見ると、むね肉は同21.0%増の8万3000トン、手羽は同80.5%増の3万5000トンとともに前年を大幅に上回った。一方、レッグ・クオーター(注)は、前月から7.9%減少し、同43.9%減の4万8000トンと、6カ月連続で減少した。

(注) ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。

輸出量は1年5カ月ぶりに前年を上回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が公表している「Livestock & Meat International Trade Data」によると、2016年2月の鶏肉輸出量は、前年同月比7.7%増の24万3000トンと、2014年9月以来初めて前年を上回った(図19)。この増加要因として、生産増に伴う需給緩和により安値で推移していることが挙げられる。主要輸出先国別に見ると、メキシコ向けは同13.1%増の5万8000トン、カナダ向けは同6.8%増の1万3000トンとかなりの増加となった一方、台湾向けは同11.5%減の1万5000トン、香港向けは同14.2%減の1万1000トンとなった。

鶏肉卸売価格は引き続き安値

USDA/ERSが4月26日に公表した「Wholesale Prices」によると、2016年4月の鶏肉卸売価格(丸どり(中抜き))は、前年同月比16.7%安の1ポンド当たり87.3セント(1キログラム当たり214円:1米ドル=111円)と、供給量の増加を背景に14カ月連続で前年を下回って推移している(図20)。

(調査情報部 渡邊 陽介)


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