需給動向 国内 |
平成27年度の豚肉冷蔵品輸入量、大幅に増加 |
平成28年3月の豚肉需給は、生産量は7万9294トン(前年同月比6.1%増)と前年同月を6カ月連続で上回った。輸入量は7万1982トン(同10.2%増)と、前年の米国西海岸の港湾における物流混乱の反動から、前年同月をかなりの程度上回った。
このうち主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、3万2059トン(同10.6%増)と10カ月連続で前年同月を上回って推移している。
また、冷凍品は3万9919トン(同9.8%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度上回る15万129トン(同6.6%増)となり、推定期末在庫は前月から1117トン積み増し、16万9380トン(同5.2%減)と、前年同月をやや下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
生産量はPEDからの回復により前年度比1.5%の増加
平成27年度の生産量は、上半期は国内における豚流行性下痢(以下「PED」という)の影響や、夏場の暑さにより前年同月を下回って推移したものの、下半期に入りPEDからの回復などにより前年同月を上回って推移したことから88万7611トン(前年度比1.5%増)と、前年度をわずかに上回った(表2、図3)。
輸入量は2年連続で前年度を上回る
平成27年度の輸入量は、82万5617トン(前年度比1.2%増)と2年連続で前年度を上回った。このうち冷蔵品輸入量は、34万923トン(同16.7%増)と前年度を大幅に上回った。近年、一定の需要が定着している冷蔵品は、主要産地である北米においてPEDの沈静化により生産が回復したことに伴い現地相場が下落したことに加え、上半期に国内相場が例年を上回って推移した影響もあり、年度を通して見ると、前年度を上回る輸入量となった。一方で冷凍品は、スペイン産などの増加によりEUからの輸入量が増えたものの、輸入量が多かった前年度の反動もあり、48万4657トン(同7.5%減)と前年度をかなりの程度下回った。
推定出回り量は前年度からわずかに増加、推定期末在庫はやや減少
平成27年度の推定出回り量は、前年度をわずかに上回る172万1992トン(前年度比2.8%増)であった。このうち国産品は88万7877トン(同0.9%増)と、生産量の増加に伴い前年度をわずかに上回った。輸入品は、83万4116トン(同5.0%増)となり、冷蔵品輸入量の増加により、前年度をやや上回った。この結果、全体に占める国産品のシェアは51.6%、輸入品のシェアは48.4%となった。
また、27年度末の推定期末在庫は、16万9380トン(同5.2%減)と前年度をやや下回った。27年6月から12月まで、出回り量の増加に伴い在庫の取り崩しが続き、12月に15万3977トンまで減少したが、28年1月以降は積み増しに転じ、年度末には17万トン弱の水準となった。
豚枝肉卸売価格、前年度をかなりの程度下回る
平成27年度の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、前年度をかなりの程度下回る1キログラム当たり540円(前年度比8.9%安)となった(図4)。上半期は、米国西海岸の港湾での物流混乱が解消した後に、冷蔵品輸入量が増加したことから、同価格は低下したものの、その後は季節的に上昇傾向で推移し、7、8月には前年同月を上回った。しかし、下半期に入り、気温が低下し、出荷頭数が安定的に推移したことや、現地相場安となっている北米産の冷蔵品輸入量やEUからの冷凍品輸入量が増加傾向で推移したことから前年度よりも低水準で推移した。
(畜産需給部 小林 智也)
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