需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成27年の牛肉輸入量、前年比4.7%の減少


 平成27年12月の牛肉需給は、生産量は3万1534トン(前年同月比6.4%減)と、9カ月連続で前年同月を下回った。品種別に見ると、和牛が1万5630トン(同6.3%減)、乳用種が8614トン(同4.9%減)、交雑種が6943トン(同7.7%減)と、いずれも前年同月を下回った。輸入量は3万6979トン(同8.9%増)と、日豪EPA発効を控えた通関繰り延べなどにより輸入量が減少した前年の反動もあり、2カ月連続で前年同月を上回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度上回る7万6325トン(同6.7%増)となり、推定期末在庫は前月から8021トン取り崩し、13万2389トンと、前年同月並みとなった(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

豪州産は前年比2.8%増、米国産は同12.3%減

 平成27年1月15日に日豪EPAが発効してから1年余りが経過した。この間、豪州産牛肉の関税率は、発効前の38.5%から冷蔵品が31.5%、冷凍品が28.5%まで引き下げられたものの、在庫水準が高いことなども影響した結果、27年の輸入量は前年をやや下回る49万4219トン(前年比4.7%減)にとどまった。このうち、冷蔵品は20万4486トン(同6.7%減)、冷凍品は28万8997トン(同3.4%減)であった(図1)。

 国別に見ると、約6割のシェアを占める豪州産は28万9212トン(同2.8%増)とわずかに増加した。豪州産については、米国や中国向けといった旺盛な輸出需要などを背景に、現地相場は上昇しているものの、日豪EPAによる関税率削減のメリットも得られることなどから、27年上半期を中心に、米国産からの切り替えが進んだ結果、6年ぶりの増加となった。

 一方で、次いで輸入量の多い米国産は16万5037トン(同12.3%減)とかなり大きく減少した。米国産については、為替の円安基調に加え、干ばつの影響による飼養頭数の減少により、現地相場が年間を通じて高値で推移したことなどから、12月に輸入が再開した17年以降、初めての前年割れとなった。

輸入品仲間相場、今後も高値が続く見通し

 輸入品仲間相場の動向を見ると、平成24年秋以降、豪州産、米国産ともに、一部の品目を除いて上昇基調で推移してきた。

 平成27年12月の価格は、豪州産キューブロールおよび米国産リブアイロールリップオン(冷蔵品、ともに「ロイン」に相当)が、それぞれ1キログラム当たり2517円(前年同月比17.5%高)、同3429円(同15.5%高)と、いずれも前年同月と比べ2割近くの高値となった。

 また、テーブルミートとしても業務用としても汎用性が高い豪州産チャックロールおよび米国産チャックアイロール(冷蔵品、ともに「かたロース」に相当)は、同1191円(同11.0%高)、同1384円(同2.0%高)と、いずれも前年同月を上回った(図2)。

 米国産については、生産量が回復途上にあるものの、豪州産については、この先数年間は牛群再構築に伴う出荷減が見込まれるほか、世界的な牛肉需要の高まりによる他国との競合などから、輸入品仲間相場の大きな下げ要因はなく、引き続き、厳しい輸入環境が続くと予想される。

(畜産需給部 二又 志保)

元のページに戻る