需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛群再構築の進展により、2016年の牛肉は増産見込み |
牛飼養頭数は前年比3.2%増 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月29日に公表した「Cattle」によると、2016年1月1日現在の牛飼養頭数は、前年比3.2%増の9198万8000頭と、2年連続で増加した(表1)。 種類別に見ると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は同3.5%増の3033万1000頭となり、また、肉用繁殖後継牛は同3.3%増の628万5000頭と1995年以降の最高を記録した。この要因として、2011年および2012年の深刻な干ばつにより悪化していた飼養環境が改善されたことで、雌牛の保留が進んだことが挙げられる。また、繁殖雌牛の増加に伴い、子牛は同3.9%増となっており、今後の牛肉の増産が見込まれている。 牛肉生産量は2カ月連続で前年を上回る USDA/NASSが1月21日に公表した「Livestock slaughter」によると、2015年12月の1頭当たり平均枝肉重量は、飼料穀物価格安による飼養期間の長期化などにより、前年同月比1.7%増の381キログラムとなった。また、と畜頭数は、牛群の回復に伴い去勢牛のと畜が前年同月を上回ったため、同0.5%増の245万1100頭となった。この結果、牛肉生産量は同2.3%増の92万7800トンと2カ月連続で前年同月を上回った(図1)。 一方、2015年の牛肉生産量は、1頭当たり平均枝肉重量が前年を上回ったものの、牛群再構築による雌牛保留の増加によりと畜頭数が減少し、同2.3%減の1075万トンと前年を下回った。 また、2016年の生産量についてUSDAは、去勢牛の飼養頭数が増加傾向にあることから、前年比3.8%増の1116万トンと見込んでいる。 増産により、今後の牛肉輸出は増加見込み 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)の公表によると、2015年11月の牛肉輸出量は前年同月比0.8%減の9万2000トンとなった。国内の牛肉価格高や米ドル高で推移する為替相場などにより、牛肉輸出量は14カ月連続で前年同月を下回って推移している(図2)。 主要輸出先国別に見ると、メキシコ(前年同月比11.8%増)、カナダ(同0.2%増)、韓国(同7.6%増)、香港(同7.8%増)向けは、いずれも前年同月を上回ったものの、日本向けは同28.8%減の1万6000トンとなった。この要因についてUSDAは、米国産よりも価格競争力のあった豪州産へのシフトが進んだことを挙げている。 2016年の牛肉輸出については、輸出競合国である豪州の減産に伴う日本への輸出機会の拡大、また、増産による価格低下などにより、前年比9.4%増の112万2600トンとかなりの程度増加を見込んでいる。なお、USDAは、米ドル高の為替相場やアジアを中心とする世界経済の動向が、今後の懸念事項と見ている。 (調査情報部 渡邊 陽介)
|
元のページに戻る