需給動向 国内 |
平成28年1月のもも肉とむね肉の価格差、392円まで拡大 |
平成27年12月の鶏肉需給は、生産量は14万6879トン(前年同月比3.6%増)と前年同月をやや上回り、7カ月連続の増加となった。一方で、輸入量はブラジル産などの減少により4万1586トン(同1.1%減)と前年同月をわずかに下回り、2カ月連続の減少となった。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る19万2482トン(同1.2%増)となり、推定期末在庫は前月から4017トンを取り崩したものの、13万7396トン(同16.4%増)と、前年同月を大幅に上回った。推定期末在庫のうち、輸入品は輸入量の減少から4897トン取り崩し、11万5246トン(同12.6%増)となった。一方で、国産品はむね肉を中心に凍結回しが増加したことから、880トン積み増して2万2150トン(同41.3%増)と2カ月連続で2万トン台となった(農林水産省「食鳥流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 もも肉に需要が集中、むね肉は荷余り感も このような状況の中、平成28年1月の国産鶏肉卸売価格(速報値)を見ると、テーブルミートとして利用されることが多いもも肉は、12月の最需要期以降も、気温の低下に伴い鍋物需要が継続しており、1キログラム当たり690円(前年同月比1.3%高)と10カ月連続で前年同月を上回った。一方で、加工・業務用需要が高いむね肉は、もも肉に需要が集まったことから、荷余り感が出てきているほか、競合関係にある輸入品の在庫量が多いことから、27年8月以降下げ基調で推移しており、1月は同298円(同9.7%安)と37カ月ぶりに前年同月を下回った。その結果、もも肉とむね肉の価格差は前月と比べて30円広がり392円まで拡大した(図5)。 平成27年の鶏肉輸入量、13年ぶりに50万トンを超える 平成27年の鶏肉輸入量は、牛肉・豚肉に対する価格優位性から消費者の低価格志向に対応する商材として加工・業務用筋を中心に需要が高まった影響もあり、13年ぶりに50万トンを超える52万9434トン(前年比11.4%増)となった。 国別に見ると、輸入量の約8割を占めるブラジル産は現地相場安などから輸入しやすい環境が継続しており、40万8899トン(同2.4%増)となったほか、タイ産が25年12月の輸入再開以来、輸入量を順調に増やしており、前年から倍増の9万2347トンとなった(図6)。 国産鶏肉相場は牛肉・豚肉との価格優位性や消費者の国産志向に支えられた好調な消費を背景に堅調に推移していた。しかし、輸入量の増加による輸入品在庫の積み増しに加え、国産品在庫も積み増している状況となっており、今後の国産鶏肉相場への影響を懸念する声も聞かれる。 (畜産需給部 小林 智也)
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