需給動向 海外

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生乳出荷量前年超、乳価低迷が継続


生乳出荷量は8カ月連続前年超

 欧州委員会によると、2015年11月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比4.9%増の1188万トンとなった(図16)。また、2015年の1月から11月までの累計では、前年同期比2.1%増の1億3937万トンとなっている。クオータが撤廃された同年4月以降、生乳出荷量は8カ月連続で前年同月を上回って推移しているが、10月(前年同月比5.1%増)、11月と前年同月に対する増加幅が拡大してきている。

 加盟国別では、オランダとアイルランドの増産が顕著であり、オランダは前年同月比13.8%増の111万トン、アイルランドは加盟国最大の伸び率となる同45.8%増の36万トンとなった。そのほか、主要生乳生産国であるドイツは同4.7%増の254万トン、フランスは同2.2%増の204万トン、英国は同3.8%増の120万トンとなった。

生乳取引価格は16カ月連続前年割れ

 欧州委員会によると、2015年12月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比7.3%安の100キログラム当たり30.66ユーロ(1キログラム当たり40.78円:1ユーロ=133円)となった(図17)。生乳出荷量が前年を上回って推移する中、需給バランスの緩みから生乳取引価格は低迷を続けており、16カ月連続で前年同月を下回っている。また、2015年の同価格の平均は、前年比17.4%安の同30.71ユーロ(同40.84円)となっている。

中国向け飲用牛乳輸出が拡大

 このような中で、需給バランスの改善を図るため、EU域外への牛乳・乳製品輸出を強化する動きが目立っている。最近の特徴としては、輸出量・額は小さいものの、中国向け飲用牛乳(超高温殺菌牛乳(LL牛乳)など)の伸びが挙げられる。

 2015年の中国向け飲用牛乳輸出量は、前年比48.7%増の30万トン、輸出額は2億5015万ユーロ(333億円、前年比39.7%増)を記録した(図18、表8)。加盟国別に見ると、ドイツ産が20万トンと全体の7割近くを占めている。

 EUの飲用牛乳輸出量は、中国向けが約4割を占め、EUにとって最大の輸出先国となっている。また、中国の飲用牛乳輸入量では、EU産が3分の2を占め、中国にとってもEUが最大の輸入先国となっている。

 これは、中国の消費者のEU産飲用牛乳の安全性に対する高い評価に加えて、低迷するEUの生乳価格とユーロ安による割安感が、輸出を後押ししているためである。

 EUから中国へ輸出される飲用牛乳は、常温での長期保存が可能なLL牛乳が主流となっている。粉乳を使用した乳飲料に対して競争力のある価格で消費者に提供されていることから、地方都市への販路も拡大しており、今後も中国における需要はさらに増えていくとみられている。

(調査情報部 大内田 一弘)

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