需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

バターの期末在庫量が大幅増加


 農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、平成27年12月のバター生産量は6176トン(前年同月比7.4%増)となり、4月を除いて26年12月以降、前年同月を上回って推移している。一方、推定出回り量(消費量)は7776トン(同6.0%減)となった。この結果、期末在庫量は1万8826トン(同23.3%増)と大幅に増加した(表1)。品目別には、機構調べによる「品目別バター在庫量(国内乳業メーカーなど主要13社計)を見ると、業務用のバラが1万1603トン(同10.9%増)、業務用のその他(ポンド、シート、ポーションなど。以下「ポンドなど」という)が5451トン(同62.2%増)、家庭用が1335トン(同22.0%増)と全品目で前年同月を上回った(表2)。

ポンドなどや家庭用の期末在庫量、27年末は大幅増加

 過去3年間におけるバターの在庫量の推移を見ると、平成25年度は猛暑による影響などで生乳の生産量が減少したことなどから、本来、在庫の積み増しができる冬場のバターの生産量がかなり減少し、1万7317トン(前年度比26.2%減)となり、3年度以降で最も少ない年度末在庫量となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。25年度末の品目別バター在庫量(機構調べ)を見ると、バラが1万1885トン(同26.1%減)、ポンドなどが3426トン(同27.3%減)、家庭用が1045トン(同30.9%減)とそれぞれ大幅に減少した。こうした在庫量の大幅な減少を受け、乳業メーカーなどはバターの安定的な供給を続けるために26年度の出荷量を抑制せざるを得なかったことや、供給不安などを背景として店頭での家庭用バターの購入量が増加したことが、26年秋から年末にかけての店頭でのバターの品薄を招いたと考えられている。

 しかし、26年度は乳業メーカーがポンドなどや家庭用の生産に注力したことから、年度末のバターの在庫量(農林水産省「牛乳乳製品統計」)は、大幅に減少した前年度をやや上回る1万7833トン(同3.0%増)となった。品目別バター在庫量(機構調べ)を見ると、バラは1万1528トン(同3.0%減)と減少したものの、ポンドなどは4222トン(同23.2%増)、家庭用が1330トン(同27.3%増)とそれぞれ大幅に増加した。

 27年度の品目別バター在庫量(機構調べ)のうちポンドなどと家庭用を月ごとに見ると、4〜12月は前年同月比16〜62%増で推移した。これは、年度当初の在庫量が比較的高水準であったことに加え、生乳生産量の回復により、バターの生産量が増加する中、26年度に引き続き乳業メーカーがポンドなどや家庭用の生産を増やしたことが大きい。

 当機構においてもバターの品薄への対応として、従前のバラ(主に1箱あたり25キログラム)に加えて、洋菓子店などでも直接利用できる小物(同1〜5キログラム)や改装用(バラバターを同450グラム〜5キログラムのバターに包装し直すもの)を輸入した。

平成28年度カレントアクセスで2月にバター7000トンの輸入入札を実施

 一般社団法人Jミルクが平成28年1月に公表した平成28年度の牛乳乳製品の需給見通しによると、同年度の生乳生産量は前年度比0.6%減、バターの生産量は6万6700トン(同0.7%減)と、いずれも減少の見通しとなっている。これはバターの需要量(7万4800トン)を下回ると見込まれており、農林水産省は1月27日、28年度のカレントアクセスにおいて機構が2月中にバター7000トンの輸入入札を実施すると発表した。引き続き、バターの需要量に対する生産量の不足分を輸入で補いつつ、バターの安定的な供給を図るために、国内の生乳生産の基盤強化が必要となっている。

(畜産需給部 岡 千晴)


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