需給動向 海外

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低調な乳製品国際価格を受け、生乳生産量は減少続く


12月の生乳生産量、5カ月連続で減少

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2015年12月の生乳生産量は、276万5000トン(前年同月比1.6%減)と5カ月連続で前年同月を下回った(図21)。減少率は、最も大きかった9月(同7.5%減)と比べると徐々に縮小している。2015/16年度(6月〜翌5月)の累計(6〜12月)も、1324万9000トンと前年同期を2.8%下回っている。

 ニュージーランド(NZ)最大手乳業メーカーのフォンテラ社によると、同年12月の同社の集乳量は、乳製品国際価格の低迷に伴う乳価の下落により、酪農家の生産意欲が減退していることから、前年同月比3%減と引き続き減少傾向にあるとしている。ただし、南島については、エルニーニョ現象の影響が弱まりを見せる中、降雨によりかんがい用水の供給に余裕が生じたことから、同1%減と減少率は小さなものとなった。

 NZ一次産業省は1月20日、乾燥気候が今後も続く可能性があると発表しており、牧草の生育環境が例年並みに戻るのは、継続的な降雨にかかっているとしている。

12月の乳製品輸出量、バターとチーズが増加

 NZ統計局(Statistics NZ)によると、2015年12月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(図22)。

・脱脂粉乳  5万9351トン
 (前年同月比  1.6%減)

・全粉乳   18万2904トン
 (   同     4.2%減)

・バター   5万9482トン
 (   同     15.4%増)

・チーズ   3万5174トン
 (   同     14.4%増)

 品目別に見ると、バターとチーズについては、前年に減少した反動から中国向けがそれぞれ前年同月比72.8%増、52.7%増と大幅に増加した。一方、脱脂粉乳と全粉乳については、主要な輸出先である東南アジアやアフリカ各国において、安価なEU産の輸入増に伴い減少した。

乳製品国際価格、1月も低調に推移

 2016年1月19日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(図23)。

・脱脂粉乳 1835米ドル
 (22万円:1米ドル=122円、前年同期比23.2%安 、前回比2.9%安 )

・全粉乳  2188米ドル
 (27万円、同 8.9%安、同1.0%安)

・バター  3162米ドル
 (39万円、同11.3%安、同4.6%安)

・チーズ  2867米ドル
 (35万円、同 3.2%安、同3.2%安)

 いずれの品目も、前回(1月5日開催)結果から下落した。これは、乳製品の国際需要の回復が鈍い中、EUをはじめとした主要な乳製品輸出国・地域では、生乳生産が堅調に推移しており、乳製品の国際需給が緩和していることが背景にある。

 この結果を受け、フォンテラ社をはじめとしたNZの乳業メーカーは、一斉に生産者乳価の見込みを5〜15%程度引き下げた。フォンテラ社は、従来の乳価は、NZの主力生産品である全粉乳のGDTにおける1トン当たり平均取引価格が、3000米ドル(37万円)程度まで回復するとの見通しに基づいて設定されていたが、その達成が困難となったことを引き下げの要因としている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)

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