需給動向 海外

◆中国◆

豚価は上昇するも豚飼養頭数は減少見込み


豚飼養頭数は再び減少

 中国農業部によると、2015年7月に増加に転じた豚飼養頭数は、11月に再び減少し、12月には3億8377万頭(前年同月比9.0%減)となった(図9)。これは、南部を中心に冬場の豚肉需要期に入ったことから、と畜頭数が増加していることによる(図10)。今後は、旧正月(春節)である2月に大型需要を控えていることから、さらなる豚と畜頭数の増加が見込まれている。

 このような中で、繁殖用母豚頭数は引き続き減少傾向にあり、同年12月は3800万頭(同11.4%減)となった。現地の関係者によると、繁殖農家の多くが飼養頭数の増加により豚出荷価格が下がることを警戒しており、増頭意欲が高まらないとのことである。このため、繁殖用母豚を含め、飼養頭数は、しばらく減少傾向が継続するとみられている。

需要期に入り豚出荷価格はやや上昇

 冬場の需要期を迎えてと畜頭数が増加する中、年明け以降、一層の需要増が見込まれるため、豚出荷価格は、2015年11月の1キログラム当たり16.48元(313円:1元=19円)から、12月は前年同月比13.7%高の同16.83元(320円)へかなり大きく上昇した(図11)。

 豚肉小売価格は、9月下旬に政府が備蓄冷凍豚肉を市場に放出したことにより、10月に一時下降に転じたが、12月は前年同月比16.4%高の1キログラム当たり28.99元(551円)と、依然として高い水準となった(図12)。豚肉小売価格は今後、春節などの本格的な需要期に入るため、さらに上昇するとみられている。

2015年の豚肉輸入量、前年比37.8%増

 2015年の豚肉輸入量は、前年比37.8%増の77万7530トンとなった(表7)。多くの輸入先国からの輸入量が前年を上回る中、近年、輸入先国第1位であった米国は、同13.4%減の10万1468トンと減少した。しかし、スミスフィールドなど米国の大手輸出企業が、ラクトパミンフリーの豚肉を輸出するとして中国から輸出許可を得たことから、再び米国からの輸入量は増加すると見込まれている。

 なお、輸入量第1位はドイツの20万5276トン(前年同期比92.3%増)、第2位はスペインの13万6622トン(同49.3%増)など、EU各国からの輸入が大幅に伸びている。

 現地の関係者によると、国内の飼養頭数の減少により、今後も豚肉輸入量の増加が見込まれている。

(調査情報部 伊澤 昌栄)


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