需給動向 国内 |
食肉加工品生産量、需要の低下を受け、前年割れ
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平成27年12月の豚肉需給は、生産量は8万704トン(前年同月比1.6%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は6万7713トン(同19.5%増)と、北米、EU共に現地相場安が続いていることから前年同月を大幅に上回った。このうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、2万9387トン(同5.5%増)と7カ月連続で前年同月を上回って推移している。また、冷凍品は3万8325トン(同32.9%増)と前年に在庫調整を行うために輸入量を減らした反動もあり、前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る15万3684トン(同1.8%増)となり、推定期末在庫は前月から5326トン取り崩し、15万3977トン(同18.5%減)と、前年同月を大幅に下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。 お歳暮の時期と重なり、需要への影響広がる ハムやソーセージ、ベーコンなどに代表される食肉加工品への仕向肉量のうち、最も多い食肉は豚肉である。このため、加工品の需給動向は豚肉需給に大きな影響を与える要素の一つである。 平成27年11月の食肉加工品の生産量は、ハム、ソーセージ、ベーコンいずれも前年を下回った(図3)。これは10月末に世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(以下「IARC」という)が食肉加工品の発がん性リスクに関する内容について発表したことから、消費者の加工品離れが起こり、需要が減少したためである。特にお歳暮の注文の時期と重なったことも影響が大きくなった要因と考えられ、国立がん研究センターなどが「日本人の平均摂取量であれば食肉加工品が発がんリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい。」との発表を行ったにもかかわらず、贈答用の商品としてイメージの低下が避けられなかったものとみられる。 家計消費の回復、遅れる可能性も 総務省が公表した「家計調査報告」によると、平成27年11月以降の食肉加工品の購入数量は前年同月を下回る月が多いものの、大きな減少にはつながっていないものとみられる(図4)。これについては、上述したIARCの発表に対し、食肉加工メーカーによる製品の内容量の一時的な増加や小売店による特売の増加などの取り組みが行われたことから、消費量の減少幅が抑えられたとの声も多い。食肉加工品については、以前から製品価格を据え置いて内容量を減らす、いわゆる実質値上げの影響から、購入数量が前年を下回る月も多く見られていた。今回の発表が末端消費の回復を遅らせる可能性も十分考えられることから、今後の動向に注視していく必要がある。 (畜産需給部 山口 真功)
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