需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛肉生産量は、と畜頭数の増加に伴い大幅に増加
8月の牛と畜頭数は、前年同月を大幅に上回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2016年9月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、8月の牛と畜頭数は、前年同月比18.3%増の274万8000頭となった。種類別に見ると、去勢牛は153万8000頭(前年同月比15.3%増)、未経産牛は70万頭(同23.6%増)、肉用経産牛は21万3000頭(同38.4%増)と、牛群再構築の進捗を受けていずれも前年を上回った。
同月の牛肉生産量は、前年同月比17.0%増の102万7000トンと、と畜頭数の増加を背景に前年を大幅に上回った(図1)。同月の平均枝肉重量は、肥育期間が長期化していた前年の反動から前年同月比1.1%減の376キログラムとなったものの、過去5カ年平均(363キログラム、2011年〜2015年)を上回る水準である。
USDAは2016年の牛肉生産量について、前年比5.2%増の1131万3000トンと見込んでいる。
生体牛および牛肉価格は、下落傾向で推移
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2016年9月の肥育もと牛価格(注)は、前年同月比26.6%安の100ポンド当たり147.5米ドル(1キログラム当たり332円:1米ドル=102円)と、生産基盤の回復を背景に14カ月連続で前年を下回って推移している。同月の肥育牛価格は、供給量の増加などにより同20.8%安の100ポンド当たり108米ドル(1キログラム当たり243円)と大幅に前年を下回った(図2)。
また、同月の牛肉卸売価格は、牛肉生産量の増加により、前年同月比13.3%安の100ポンド当たり197.5米ドルとかなり大きく前年を下回って推移している(図3)。
(注) オクラホマ市場ミディアムNo1, 去勢600〜650ポンド。
2016年の輸出量は前年比9%増の見込み
USDA/ERSによると、2016年7月の牛肉輸入量は、前年同月比6.8%減の12万2000トンとなった。輸入先国別に見ると、カナダ(2万8000トン、前年同月比30.2%増)やニュージーランド(3万1000トン、同11.1%増)からの輸入が増加した一方、輸出余力が低下している豪州からの輸入は同35.3%減の3万2000トンと大幅に減少した。また、USDAは、ブラジルからの牛肉輸入が解禁となったことについて、2016年下期以降同国からの牛肉輸入量が徐々に増加する見込みとしている。
一方、同月の牛肉輸出量は、前年同月比8.0%増の9万8000トンとなった(図4)。輸出先国別に見ると、カナダ向け(1万2000トン、前年同月比22.3%減)は減少したものの、日本(2万7000トン、同5.6%増)、韓国(1万9000トン、同36.3%増)、メキシコ(1万6000トン、同23.6%増)向けなどが増加した。USDAは、2016年の輸出量について、米国の牛肉価格が安値で推移することに加え、アジアやメキシコを中心とした堅調な需要により、前年比8.6%増の111万6000トンと見込んでいる。
(調査情報部 渡邊 陽介)