需給動向 国内 |
鶏肉卸売価格、年末の需要期に向けて上昇基調で推移 |
平成28年8月の鶏肉需給を見ると、生産量は12万2470トン(前年同月比3.9%増)と7カ月連続で前年同月を上回り、輸入量は4万5985トン(同2.5%減)と前年同月をわずかに下回った。推定出回り量は16万6805トン(同4.3%増)と前年同月をやや上回り、推定期末在庫は前月から1650トンを積み増し、16万9453トン(同31.3%増)と依然として高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
もも肉・むね肉の価格差、前年よりも拡大傾向で推移
平成28年9月の国産鶏肉卸売価格(東京)は、もも肉が1キログラム当たり610円(前年同月比3.6%安)、むね肉が同259円(同26.2%安)といずれも前年同月を下回ったものの、前月からはわずかに値上がりした(図6)。今後は、年末需要に向けて上昇基調で推移していくものとみられる。
主にテーブルミートに仕向けられるもも肉は、季節需要に伴う価格変動が大きく、不需要期とされる夏場に価格が低下する傾向にある。しかし、今夏は、好調な家計消費などにより、相場の下げ幅が例年に比べて小さくなった。
また、むね肉は、主に加工・業務用に仕向けられているため、もも肉と比べて季節性の価格変動が小さい傾向にある。今年は、高水準の輸入品在庫などを背景に、輸入品と競合関係が強いむね肉の相場は前年を下回って推移している。
このような相場の推移を受け、9月のもも肉とむね肉の価格差は351円となり、前年と比べてかい離幅が大きくなっている(図7)。
1人当たりの購入数量、増加傾向で推移
鶏肉需要の約4割を占める家計消費量は、季節変動を伴いながらも増加傾向で推移している。平成28年8月の1人当たりの購入数量は388.0グラム(前年同月比4.3%増)と前年同月をやや上回った一方で、支出金額は372.6円(同0.6%安)とわずかに前年同月を下回った(図8)。
鶏肉は牛肉や豚肉と比べ安価でヘルシーなイメージがあるため、消費者の経済性志向や健康志向を反映して、購入数量は増加傾向である。しかし、支出金額は、前年と比べ軟調な鶏肉相場を受け、3カ月連続で前年同月を下回って推移している。
(畜産需給部 河村 侑紀)