需給動向 国内 |
平成28年9月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり192円(前年同月比55円安)と7カ月連続で前年同月を下回った。(図13)。
鶏卵の卸売価格は、梅雨入り以降、夏場にかけて、テーブルエッグ、加工・業務用ともに不需要期に当たることや学校給食が休止する時期であることから、需要が鈍化し、下げ基調で推移していた。
9月に入り、残暑などの影響を受け、依然として小玉傾向が続いている一方、学校給食の再開や大手ファストフードチェーンの鶏卵を使用した商品展開などにより、需要の回復が見られ、鶏卵相場は、上昇基調となったものの、近年の上げ幅ほど大きくはなく、月平均では堅調な需要を背景に高水準となった前年を22.3%下回る結果となった。
今後について、供給面では、採卵用ひなえ付け羽数が全国的に増加傾向にあることに加え、気温の低下に伴う産卵率や卵重の回復などから、生産量は増加傾向で推移していくと思われる。一方、需要面では、涼しくなるにつれ、おでんや鍋料理、クリスマス需要のある洋菓子などの需要期に向けて消費は回復していくとみられ、鶏卵相場は例年通り冬場に向けて引き続き上昇していくものと考えられる。
シンガポール向けの鶏卵土産品輸出が10月から可能に
農林水産省は、シンガポール政府当局と協議を行い、日本産の生鮮殻付鶏卵(以下「鶏卵」という)を個人消費用携帯品(土産品)として輸出するための簡易証明様式について合意し、平成28年10月1日から鶏卵の土産品輸出が可能となった。
輸出条件は、(1)一人当たり30個以内であること、(2)日本国内で市販されており、個人消費用であること、(3)日本産であること、となっている。あらかじめ簡易証明書が添付されている鶏卵については、そのまま手続きの必要がなく、そのほか日本国内で市販されている鶏卵については、購入後に空港などにある動物検疫所で簡易証明書の交付を受けることにより、土産品としてシンガポールに持ち込むことができる。
同国に対しては、28年1月から牛肉や豚肉などの土産品輸出が可能となっており、今回の合意により、鶏卵を加えた「すき焼きセット」などの商品化も可能となった。今後、海外での鶏卵を含む国産畜産物の需要拡大が期待される。
(畜産需給部 河村 侑紀)