需給動向 海外 |
減産傾向は継続、乳価引き上げの動きも
2015/16年度乳製品生産、全品目で減少
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2015/16年度(7月〜翌6月)の主な乳製品の生産量は以下の通りとなり、主要4品目の生産量は、いずれも前年度を下回った(表5、図19)。
品目別に見ると、全粉乳は、主要輸出先である中国の需要減の影響で大幅に減少した。バターやチーズも同様に、輸出需要に連動して減少したものの、比較的内需が高いこともあり、全粉乳に比べると小幅な減少となっている。なお、脱脂粉乳は前年度比でわずかな減少にとどまったが、これは、乳製品国際価格が低迷を続ける中、全粉乳より賞味期限が長い脱脂粉乳の生産が増加したためとみられる。
7月乳製品輸出、脱脂粉乳のみ減少
DAが公表した2016年7月の主な乳製品の輸出量は、以下の通りとなった(表6、図20)。
主要4品目のうちで唯一前年を下回った脱脂粉乳は、主要な輸出先であるマレーシアや中国、アルジェリア向けが、NZ産の輸出増により減少した。前年から2倍以上の増となった全粉乳は、関係者の話によると、豪州最大の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン(MG)社が、もともと中国向けとして生産していた全粉乳の仕向け先をベトナム向けに変更し、在庫一掃を図ったとみられる。バターは、タイやアラブ首長国連邦向けが増加した。チーズは、日本向けがNZ産の輸出増により減少した一方、中国やマレーシア向けが大幅に増加したことで、前年を上回った。
MG社、生産者支払乳価を引き上げ
MG社は9月13日、生産者支払乳価を乳固形分1キログラム当たり4.31豪ドル(340円:1豪ドル=79円)から同4.46豪ドル(352円)へ引き上げると発表した(図21)。
今回の引き上げの背景として、同社は、世界的な生乳の減産による乳製品国際価格の上昇基調があるとしている。同社は、2016/17年度の最終の支払価格について、同4.88豪ドル(386円)となるとの見通しを示しているが、豪ドル高で推移する為替相場の影響もあり、依然として予断を許さない状況は続くとしている。現地報道では、2015/16年度終盤の乳価引き下げやこれに伴う酪農家向け緊急支援策に対して不満を持った一部の酪農家が、供給先を他社に切り替えたことにより、集乳量が8%近く減少した同社が、酪農家の離脱を食い止めるために引き上げたとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)