需給動向 海外 |
乳製品需要は引き続き増加傾向
液状乳製品の生産量が増加
中国農業部の統計によると、国内で生産される乳製品は、近年飲用乳やヨーグルトなどの液状乳製品が増加している(図27)。年によって変動はあるものの、液状乳製品の全乳製品生産量に占めるシェアは2010年に86%であったが、2014年には91%に増加している。ただし、同年は消費者の食品の安全性に対する不信感などを背景に、乳製品全体の生産量が前年に比べわずかに減少している。
一般的に保存期間の短い液状乳製品に対する国産生乳への需要が堅調な一方で、国産生乳の生産費が海外の主要供給国に比べ割高であることなどから、液状乳製品以外の乳製品の需要増加分は輸入で賄われている状況となっている。
2016年1〜8月の乳製品輸入は引き続き堅調に推移
乳製品の輸入は引き続き全体的に堅調に推移している。1〜8月の輸入状況を品目別に見ると、全粉乳は前年同期比23%増の34万トンで、2015年1年間の輸入量に近い水準となっている。一方、脱脂粉乳は同2%減の14万トンとなっている。これら粉乳類の主要調達先であるNZおよび豪州からの輸入は、各々の2国間協定の関係で年明けに集中するため、これから年末にかけて、輸入量は低水準で推移すると見込まれる(図28)。
また、安全性に対する消費者の懸念や供給量の不足から、LL牛乳をはじめとする飲用乳の輸入も堅調である。1〜8月の輸入量は前年同期比60%増の37万トンで、全体の39%を占めるドイツ産は同30%増の14万トンと好調を維持しているほか、特にフランス産が同626%増の6万6000トンと顕著な伸びとなっている(図29)。
なお、同じ液状乳製品に区分されるヨーグルトの輸入実績は毎年伸びている。保存期間の問題などからわずかな量にとどまっているが、2015年は同182%増の6819トンとなった。
ここ数年徐々に需要が伸びているチーズは、ほぼ全量が輸入されており、国産はほとんどが輸入チーズを用いて作られるプロセスチーズである。主な調達元はNZ、豪州と米国で、3カ国で全体の80%以上を占める。1〜8月の輸入も好調で、前年同期比30%増の6万4000トンとなっている(図30)。
バターの輸入数量は、他の乳製品に比べ少ないものの毎年伸びており、今後も伸びが見込まれる。1〜8月の輸入量は前年同期比43%増の4万7000トンとなった(図31)。
現在、輸入の大部分はNZ産で、86%を占めている。
(調査情報部 木田 秀一郎)