需給動向 海外

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生乳生産は微減、国際価格は上昇基調続く


8月の生乳生産、わずかに減少

ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2016年8月の生乳生産量は134万2000トン(前年同月比2.7%減)とわずかに減少した(図22)。乾乳期を終えて生乳生産のピークに向かう中、前年を下回る滑り出しとなった。

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生乳生産量の減少は、低乳価に伴う酪農家の生産意欲の減退に加え、平年よりも低温で降雨が多い天候が続いたことが背景にあるとみられる。

また、ニュージーランド(NZ)の集乳シェアの約9割を占める最大手乳業メーカーのフォンテラ社が発表した、2016年8月の集乳量は、前年同月比5.0%減とやや減少した。地域別の内訳を見ると、南島は同0.4%減とわずかな減少にとどまったが、集乳量の4分の3を占める北島は同6.3%減とかなりの程度減少した。現地専門家によると、これは、北島の酪農家を中心に、生産者支払乳価の安いフォンテラ社から独立系乳業メーカーへ供給先を変更する動きがあったためとしている。

8月乳製品輸出、全粉乳とバターが減少

NZ統計局(Statistics NZ)によると、2016年8月の主な乳製品の輸出量は以下の通りとなった(表7、図23)。

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品目別に見ると、脱脂粉乳は、中国向けが減少したものの、マレーシアやシンガポールなど東南アジア向けが増加したことで、また、チーズは、日本向けが減少したものの、中国向けが前年同月比3割近く増加したことで、ともに全体としては前年を上回った。

一方、全粉乳は、アフリカやアジア向けは堅調に推移したものの、中国向けが4361トン(前年同月比54.9%減)と大幅に減少したことで、また、バターは、前年8月に2400トン近い日本向け輸出があった反動で、ともに前年を下回った。

乳製品国際価格の上昇について、酪農家は楽観視

2016年9月20日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、7月以降前年を上回って推移している(表8、図24)。

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取引価格は、全粉乳を除いて4回連続の上昇となったものの、今回の上昇幅はこれまでの結果と比べると小幅なものとなった。今回の取引結果に関する現地報道では、前回比5〜10%の上昇が続くと見込まれていただけに失望の声がある一方で、3回連続で記録した価格上昇が「高止まり」となったことに加え、9月21日にはフォンテラ社が生産者支払乳価の引き上げを発表したこともあり、乳製品国際価格が今後も着実に回復に向かっていくという希望的観測もみられている。

また、オランダの農業系金融機関であるラボバンクがNZの酪農家に対して実施した経営動向調査によると、地域経済が「改善していく」と答えた酪農家は48%(前回調査比23ポイント増)と大幅に増加した。また、酪農乳業の経営環境についても、2007年に同調査を開始して以来最も多い約3分の2の酪農家が「改善していく」と回答しており、GDTの上昇基調に合わせて、酪農家の間でも乳製品国際需給について楽観的な見通しが広がっている。

(調査情報部 竹谷 亮佑)


				

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